これまで4つの業態別ファンページを見てきたが、最後は「企業ブランディング」のためのファンページを前後編に分けて見ていきたい。

 海外企業でFacebookファンページに注力しているのは、何といっても消費者向けの製品・サービスを提供する企業である。食品メーカー、ファーストフードチェーン、衣料ブランド、小売チェーン、輸送業、旅行業、メディア、エンターテイメント施設などなど。既存客のロイヤリティを高め、新規のファンを増やす、いわば「ブランド基盤」を固める役割を持つファンページに本格的に取り組む企業が増えてきた。

 とりわけ「ファンページランキング」で上位にいる企業では、その企業の個性が存分に表現されているファンページが多い。デザインが良いというよりも、コンセプトが優れているのだ。なかなか思いつかないようなアイデア、楽しい仕掛け、大胆なオファーなどでファンの心をつかんでいる。

寄付と割引を組み合わせたキャンペーンを行う衣料ブランド

 衣料品のGAPがこのクリスマスシーズンに始めた「Most Wanted Gift」というチャリティキャンペーンは非常に興味深い。

複数の一般モデルが「ギフト」を語るYouTube動画を配したファンページ

  GAPファッションを身にまとった女優、コメディアン、ブロガー、NPOの創始者などファッショナブルな人々が、それぞれ「ギフト」に関するストーリーを語るプロモーションビデオ(YouTube動画)をファンページ上で見ることができる。気に入った動画に「いいね!」を押すと、1いいね!につき1ドルがチャリティに寄付されるようになっているのだ。

 Facebookの「いいね!」にはアクセスアップの効果がある。いいね!を押した次の瞬間、その人のウォールにファンページへのリンクが自動生成されるのだ。100人がいいね!を押すと、100のリンクが貼られ、それを見た人がリンクをたどり、GAPのファンページを知ることとなるのだ。言い方は悪いが、「いいね!」を押した人は自動的に無料の広告媒体になるという魔法の仕組みなのである。