世界で熱を帯びるビール業界再編で、日本勢が獲得を狙う買収案件の“最終決戦”が続々と始まった。

アサヒが狙う東欧5カ国の事業の中には、チェコの「ピルスナーウルケル」も含まれる Photo:123RF

 アサヒグループホールディングスは英SABミラーの東欧5カ国のビール事業に買収提案する方針で、買収額は5000億円を超えるとみられる。実現すれば国内ビールメーカーで過去最大の買収額となる。

 きっかけは、世界最大手であるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)が世界2位のSABミラーを買収したことにある。両社は昨年に合意し、今年10月10日に買収を完了しているが、この統合が各国の独占禁止法に抵触しているため事業再編を余儀なくされた。

 これを受け、アサヒはすでにSABミラーからイタリアの「ペローニ」などを買収済み。今回、さらに買収しようというわけだ。

 ビール業界では、2000年代からABインベブを中心に大規模な買収合戦が繰り広げられ、世界で再編が進んできた。日本勢はその波に乗り遅れ、大手各社の海外比率は30%以下と低いまま。とりわけアサヒは20%程度と低く、「東欧の案件は、海外展開を進める上で残された数少ないチャンス」(アサヒ関係者)である。