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ツイッター身売り話は消滅?
この先どうなるのか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第409回】 2016年10月17日
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 ところが、そうした各社が引き潮のようにネゴのテーブルから去ってしまったという。ひょっとするとセールスフォースだけが、依然として交渉を続けているのではないかとされていたのだが、先週金曜日になってついに手を引いたと報じられている。

 セールスフォースの場合は、何よりも企業向けソフトを提供する同社のビジネスと、消費者向けサービスのツイッターとの整合性が疑問視されていた。セールスフォースが提携した外部企業のごく最初の1社がツイッターで、セールスフォースが自ら社内ツイッターのようなしくみをつくったことを考えると、同社がツイッターの技術に惚れ込み、可能性に大きな希望とビジョンを描いていることも想像されたが、対してセールスフォース株主らの反応は鈍かった。

最後の勝負に出るしかなくなる?

 さて、もし最終的に買収が起こらなかった場合、ツイッターは時間との勝負を迫られることになるだろう。

 上述したように、ツイッターは最近ライブビデオやライブストリーミングという新種のサービスを始めた。前者は、ツイートの中に短いビデオを盛り込めるもので、同社が買収したビデオストリーミングアプリのペリスコープ(Periscope)やヴァイン(Vine)を利用できる。だが、面白いのは後者だ。

 ツイッターはフットボールのNFLと提携し、今秋10試合をライブストリーミングしている。試合を見ながらツイートしたり、他の人々のツイートを読んだりすることが可能で、なぜ今までこれがなかったかと思わせるほど、まさにツイッターの強みを活かしたサービスだ。

 同社は、大統領選のテレビ公開討論会でもこの手法でライブ・ストリーミングを行い、NFL以上の視聴者を獲得した。第2回の討論会の視聴者は、全世界で36万9000人だったという。テレビの視聴者に比べるとほんの一握りだが、ツイッターのビジネスモデルとしては、かなり有望だ。

 だがツイッターの社内は、買収話や最近のレイオフなどで、士気がかなり低下しているとみられる。そして、ユーザーの頭打ち。内部崩壊する前に、この新しいサービスによって新境地を開拓できるかどうかは、同社の存続をかけた時間との競争になるとも思われる。

 一部には、早くも「ツイッターは『ヤフー』の二の舞」という見方も出てきた。カンフル剤を探し求めながら存続を維持するという、長い下降が始まるのではないかというのだ。最も愛される企業でも困難な局面に直面するという、シリコンバレーの典型的な展開とも言えるだろう。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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