上場しているHC企業の2010年度中間決算がまとまった。

 最大手のDCMホールディングス(東京都/久田宗弘社長)は上期に5店舗を新規出店したほか、20店舗で改装を実施。しかし、既存店の売上高が4.4%減少し、全体では2.4%の減収となった。営業利益は販売管理費を18億42百万円削減したことが貢献して営業利益は6.5%増益。グループの店舗数は500店舗を超えて、502店舗となった。

 上期は手芸用品や生活雑貨、生活衣料などの品種を拡大中で、導入した店舗では売上高を大きく伸ばしている。また、今年海外展開に向け、柴田憲次取締役を海外事業担当としてアジア地域進出の予備調査に入っている。

 コメリ(新潟県/捧雄一郎社長)は今年7月に1000店舗体制を確立。記念セールを実施した7月の既存店は前年同期比10%増となり、8月、9月は残暑で苦しんだものの、上半期合計では2.6%の増収となった。カード切替の費用負担を約7億円計上したため販売管理費が増加し、営業利益は4.4%減。四半期純利益は特別損失として資産除去損失を10億53百万円計上したために、13.4%の減少となった。

 農業分野では専門に担当する農業アドバイザーが17県下33名体制となり、186店舗をカバーする。下期にはパワー3店舗を含む、34店舗を出店する予定で、今期末には営業収益3000億円(前期比5.1%増)を見込む。

 コーナン商事(大阪府/疋田耕造社長)は上半期に5店舗を出店したものの、天候不順などの影響を受け、売上高は3.5%減少した。海外直輸入商品の売上高が前年同期比17%上昇、売上構成比も23.6%と大幅に上昇し、売上総利益率は33.5%に改善された。

 コーナンで注目したいのは、プロの業者向けの「コーナンPRO」の売上高が前年同期比10%上昇、粗利益率は2.5ポイント改善していることだ。「材木屋などの小規模専門店が減少し、競合が少なくなっている。ワンストップで購入できることがプロに支持されている」(疋田直太郎福社長)。

 上半期に減収幅が大きかったのは中堅HCだ。

 セキチュー(群馬県/関口忠社長)はカー用品専門店3店舗、自転車専門店1店舗を閉鎖したことが大きく影響した。カー用品・自転車・レジャー用品は8.8減、家庭用品は10.6%の2ケタ減の苦しい状況だ。しかし、11月にはHC業態としては約2年ぶりとなる「伊勢崎茂呂店」をオープンさせ、巻き返しを図る。

 エンチョー(静岡県/遠藤健夫社長)は、売上高が前年同期比6.6%の減少となった。売上構成比の半分を超えるDIY用品が6.4%減少したほか、家庭用品が8.6%の大幅減となった。4月には「エンチョーモバイル」や6月にネットショッピングに参入し、店舗外での収益確保に動き出している。

 上期は異常なほどの天候不順に大きく影響された格好だ。とくに夏場は建材や塗料など屋外作業に使われる用品販売に苦戦した。気象庁の今年12月から来年2月までの季節予報では、北海道・東北はやや暖かく、近畿以西はやや低いという。上期のような異常気象にはならない見込みだ。

 小型店を有効活用し、小商圏でもPBのシェア拡大を図ろうとする方向性にあるのは間違いないだろう。


「ダイヤモンド ホームセンター」1月号 好評発売中!

天候不順が響き上場HC11社が減収<br />下期の天候は安定する見込み

日本の2大流通企業であるセブン&アイとイオンが、いまGMS(総合スーパー)事業において苦戦しています。かつては広大な平場に衣料品や住居関連を並べ、生活者からも支持を得ていたGMSですが、最近では低価格・高付加価値を売りとする専門店に、そのシェアを急速に奪われつつあります。現在は、従来のセクションごとの縦割りの仕入れや売場構成を改め、より生活者目線で売場を立て直そうという改革に挑んでおり、その具体化策として取り組む「専門店化」の動きを特集にまとめました。はたして、専門店化によって生活者の関心を取り戻すことができるのでしょうか。
いまでは資材や住居関連だけではなく、衣料品やペット、園芸、そして食品や医薬品まで揃えた総合力を誇るホームセンター(HC)もでてきています。HCにとっても他人ごとではなく、専門店化は2011年の重要なテーマになってくるかもしれません。
このほか、ナフコの新社長に就任された石田卓巳氏のインタビューや、最新の上海市場のレポートもまとめました。充実した誌面でお届けする「ダイヤモンド ホームセンター」1月号、読者の皆さまにさまざまな提案をしていきます。ぜひ手にとってご覧ください。
小売・サービス・流通業界がわかるビジネス情報サイト DFオンライン