精米所写真はイメージです Photo:PIXTA

米の高騰が止まらない。3年前の6月に5kg1757円だったのが、今や4285円、史上最高価格を更新し続けている。小泉進次郎氏が5月末に農林水産大臣に就任、備蓄米を大量放出したことで事態は大きく動き始めたが、そもそもの原因は何なのか。今回の騒動が起きた理由、そして日本の米の流通の課題を解説する。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)

去年の2倍!米の価格、史上最高値を記録

“令和の米騒動”は、まったく収まる気配がない。全国のスーパーマーケットでは、米5kg当たりの平均価格が4285円(5月末の数字)まで高騰した。この価格は、農林水産省が集計を開始した2022年3月以来の最高値であり、前年同期の約2倍という異常な水準だ。

 2022年6月には1757円、昨年2024年6月には2169円だった米5kgの平均価格は、品薄が深刻化した8月には2600円を突破した。「秋になって新米が出回れば落ち着く」という楽観論に反して値上がりを続け、今年に入るとついに4000円台に突入した。

 米売り場では、従来の5kgパックに加えて、4kgのパックが目立つようになった。これは、小売業者が価格上昇による消費者の買い控えを避けるため、いわゆる「ステルス値上げ」を実施せざるを得なくなったためだ。また、2kgパックは従来の5kgパック程度の価格になっているため、こちらも増えている。筆者が確認したスーパーマーケットでは、銘柄米5kgパックが4980円、4kgパックが3880円、2kgパックが2350円で販売されていた(いずれも税別)。

 米は日本人の主食として生活必需品であり、消費者には長年培われた「値ごろ感」という慣習価格がある。現在の米の価格は、この慣習価格を大幅に上回っており、消費者の購買行動に変化をもたらしている。

 今回の米を巡る騒動は、日本の食料供給システムの脆弱性を浮き彫りにした。日本の主食をめぐる危機的状況といってもいい。