日産自動車は2010年12月3日、電気自動車「リーフ」を同年12月20日から日本全国で発売すると発表した。一方、ホンダは同年12月16日、電動二輪車「EV-neo」を同年12月24日から全国でリース販売すると発表した。
この他にも、今秋以降、日本国内の小規模事業者による小型電気自動車の販売発表や、地方大学や地方自治体での電気自動車開発など、電気自動車絡みの報道が相次いでいる。
こうした一連の流れを受けて、一般の人々は「電気自動車が本格普及期に入った」という印象を抱いていることだろう。そして、日本=電気自動車先進国、と思われているかもしれない。
しかし、現実は厳しい。
世界では今、「電動車技術のイニシアティブ争い」が激化している。焦点となっているのは「電池の世界標準化」である。電池といっても、電池個体である「セル」、セルの集合体で温度関連などの制御システムが組み込まれている「モジュール」、さらにはモジュールの集合体で車両搭載される際の電池の箱となる「電池パック」など、世界標準化に関する「電池」という言葉に含まれる内容は多岐に渡る。
そうした「標準化争い」のなかで、日本は今、微妙な立場に置かれているのである。詳しくは後述するが、ひとつ間違えば、半導体、太陽光パネル等の過去の苦い体験を繰り返すことになりかねない。「技術で勝ってビジネスで負ける」というあの苦い体験である。