あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 さて、2011年が始まりましたが、今のところは為替相場に方向感がありません。

 それでは、目先、米ドル安に向かうのか、それとも米ドル高に向かうのか、それを考える上で、私は過去1カ月崩れている米国の金利と米ドルの相関関係がカギになると考えています。

 具体的に、米国の金利上昇が正しいのか、それとも米ドル安が正しいのか…。間違っているかもしれませんが、私は前者の米国の金利上昇が正しいのではないかと考えています。

米国の金利上昇と米ドル安、どっちが正しいのか?

 まずは「資料1」をご覧ください。これは、米国の長期金利(10年もの国債の利回り)と米ドルの対円相場のグラフを重ねたものです。

 これを見ると、米国の金利上昇を追いかける形で2010年11月から米ドル高になったものの、翌12月に入ってからは米金利上昇に米ドルがついて行かず、その結果、両者の相関関係が大きく崩れた形になっていることがわかるでしょう。

資料1
崩れた米金利と米ドル/円の相関関係。<br />間違っているのは米金利か? 米ドルか?

 それでは、なぜ、両者の相関関係は崩れてしまったのでしょうか?

 この関係が崩れたのが一時的なものであれば、米国の金利上昇と米ドル安のどちらかが間違っていることになります。

 仮に、米国の金利上昇が正しく、米ドルが間違っているならば、それが修正に向かえば、米ドルは90円前後に上昇することになります。その逆ならば、米国の長期金利が3%以下に低下することになります。

 さて、正しいのは米国の金利か、それとも米ドルか。普通に考えたならば、正しいのは米ドルでしょう。

 別の言い方をすれば、2010年12月以降に3%を大きく超えていった米国の長期金利上昇が行き過ぎで、「間違い」の可能性があると思ったから、米ドルはそれについて行かなかったということになるでしょう。

米国の金利上昇に米ドルが追随しなくなったワケとは?

 そこで、今度は「資料2」をご覧ください。これは、米国の長期金利の短期の行き過ぎをチェックする90日移動平均線からのカイ離率です。

 これを見ると、2010年12月に一時3.5%を超えるまで米国の長期金利が上昇した局面で、カイ離率がプラス30%以上にまで拡大したことがわかるでしょう。

 このように、カイ離率がプラス30%以上に拡大したことはこれまでほとんどありませんでした。それどころか、プラス20%以上に拡大したことも、過去30年間でほんの数回しかなかったのです。

 その意味では、カイ離率プラス20%以上は金利「上がり過ぎ」、プラス30%以上は「異常な上がり過ぎ」と言えるでしょう。

資料2
崩れた米金利と米ドル/円の相関関係。<br />間違っているのは米金利か? 米ドルか?

 ちなみに、90日移動平均線からのカイ離率がプラス20%以上に拡大したのは、12月10日前後からでした。この頃から、米国の金利上昇に対する米ドルの反応が鈍くなってきたのです。

 これまで見てきたことからすると、米ドルが「間違った米金利上昇」だと判断し、それを無視するようになったということかもしれません。

 そのような「間違った金利上昇」は、さらに「異常な金利上昇」となって、一時3.5%を超えるような動きとなりましたが、その後は低下へと転じました。

 バブルに象徴されるように、相場は行き過ぎて「間違える」ことが常ですが、そのような行き過ぎが一巡した後は修正に向かいます。経験的には、「上がり過ぎ」の修正は、最低でもカイ離率が90日移動平均線を下回るまで続きます。

 ちなみに、米国の長期金利の90日移動平均線は、1月4日現在で2.8%程度にあり、「異常な金利上昇」が修正されると、米国の長期金利は3%割れに向かうといった見通しになります。

 そこで改めて、「資料1」を見てください。

「資料1」のグラフを見ると、米ドルが正しければ、米国の長期金利は2.5~2.7%程度まで下がる可能性があるということになります。

 そこまで米国の金利が下がるかはともかく、米ドルが米国の金利上昇について行かなくなったのは、それが「間違い」で、早晩その修正で低下してくると予想したからであり、実際、これまでのところはそのような感じになっているという話になります。

 つまり、最初の疑問点であった、正しいのは米国の金利と米ドルのどちらかについては、米ドルということになりそうです。

 しかし、別の資料を見るとちょっと違った話になりそうなのです。次のページで「資料3」をご覧ください。

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