特定健診の結果で、メタボ中高年は食習慣の改善と運動療法を迫られる。せめてどちらか一つで、と思うのだが。

 米国の研究によれば、適度な減量ができれば「カロリー制限」と「運動療法」の効果は同じらしい。

 対象は、肥満やあまり運動をしない“座りっぱなし症候群”の45~65歳の男女52人。

 参加者は(1)カロリー制限だけ、(2)運動療法だけ、(3)両者を併用の3グループにわかれ、効果を比較。いずれも3カ月間で体重を6~8%減らすプログラムが組まれた。

 具体的には、(1)はカロリー摂取量を普段の80%以内に抑える、(2)普段より20%以上多くカロリーを消費するため身体活動量を増加、(3)はカロリー制限10%プラス身体活動量10%増である。

 3カ月後に参加者の血圧、血清コレステロール値、血糖値を測定した結果、それぞれの値が改善。残りの人生で心筋梗塞や狭心症になるリスクが、36~46%減ることが示された。

 当初は、カロリー制限と運動療法の併用が最も効果があると予想されていたが、実際には「どれだけ減量できたか」が重要のようだ。

 ただし、だ。普段の食生活にもよるが、1日のカロリー摂取量を20%減らすには300~500キロカロリーの制限が必要。某牛丼チェーンの並盛りはまず、諦めざるを得ない。

 運動量を20%増やすのも簡単ではない。全く運動習慣がなかった場合は、毎日5~8キロメートルものウオーキングが必要になる。

 あとは個人のお好みで、としか言えないが、3グループのなかで、一番早く減量目標を達成できたのはカロリー制限・運動療法の併用グループ。リバウンド率が低く、脱落率も他の6分の1だった。

 また理由は不明だが、カロリー制限グループは、併用グループより心疾患の発症率が2~3倍に上昇。一方運動療法のみでは、血糖値の改善効果が弱かった。ちょっとした体重増で2型糖尿病を発症しやすい日本人にとって、あまりうれしいことではない。

 結局、健康維持にはカロリー制限+運動療法が最適らしい。諦めて両方に取り組みましょう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)