一般庶民には高嶺の花
豪華列車は価格も超強気

2013年10月にデビューしたJR九州の「ななつ星」が、豪華列車の先駆けだった。デビュー時と比べて、今のツアー料金はなんと1.6倍以上に跳ね上がっているが、それでも抽選倍率は最高185倍を誇る

 当然、費用も豪華寝台特急とはケタ違いで、3泊4日ツアーの料金はデビュー時で38万円から。

 さらに、現在募集中の第10期(17年4~9月)のプランでは63万円からと、1.6倍以上になっている。車内イベントや宿泊するホテルのレベルが上がっているとはいえ、なかなか強気な価格設定だが、それも人気の裏付けだといえる。実際、この1つ前となる第9期の抽選倍率は平均24.1倍、最高185倍と、その人気は衰えを知らない。

 そして、「四季島」と「瑞風」が、“先輩格”である「ななつ星」を意識していることは想像に難くない。

「四季島」の料金は3泊4日コースで75万円から。最上級の「四季島スイート」になると、なんと95万円もする。「ななつ星」を上回る価格だ。「瑞風」はまだ価格が発表されていないが、おそらく同レベルの価格帯になるだろう。値段で優劣が決まる訳ではないが、それだけのクオリティを提供できるという自信の表れとも受け取れる。車内の設備、料理をはじめとするサービス、そしてそれを提供するスタッフ…各社のプライドをかけた、一流の「おもてなし」が味わえるに違いない。

 そして、これらクルーズトレインで忘れてはならないキーワードが「地域」だ。各列車とも、車窓から眺めるだけでなく、列車から降りての観光を楽しめる。潮の香りや鳥のさえずりを五感で味わい、地元の人々と言葉を交わすことで、その地域の風土に触れることができるようにしている。

 ルートや立ち寄り観光地は随時変更される予定で、自社エリア全体にスポットを当て、その土地ごとに根付く文化を掘り起こす役割も担う。地域とともに歩むという、各社の姿勢の現れといえよう。他にも、「ななつ星」ではルート上にある主要駅の到着時刻をホームページで公開。沿線の人たちが気軽に列車を見られるようにすることで、列車に手を振ったりといった乗客との交流を促している。

 ところで「ななつ星」の第9期申し込みは、4736件中165件が海外からの応募だった。折しも先日、日本を訪れる外国人観光客数が年間2000万人を突破したとの報道があり、また東京オリンピックに向けて今後も増加が予想されるなか、これらのクルーズトレインは海外でも注目を集めているようだ。

 国内から、移動手段としての寝台列車がなくなった一方、新たな形として育ち始めたクルーズトレイン。高価格化して一般庶民の手が届かない存在となってしまったのは残念だが、彼らの成長が日本の鉄道や地域に明るい光を導くのを見守っていきたい。