こうした企業経営者に、私は口を酸っぱくして「海外への進出は法令遵守の意識を持て。正規軍で行動することがその基本の基本だ」と注意している。いろいろな事例を挙げて、正規軍として行動することは一見、コストや時間などがかかるが、信用を大事にする日本では、それこそ地元に根を下ろす近道だと教える。

 それでも耳を貸そうとしない人に対しては、遵法意識がなく、守るべきことをきちんと守ってくれなければ、その協力要請を一切断る、と警告したりすることもよくある。

中国企業の海外投資は
まだ“学費”を払う時期にある

 人民元が国際通貨への道をどんどん進むにしたがって怒涛のように海外進出する中国企業の多くは、ビジネス関連の風土や風習が違う海外の市場で、やがて淘汰されてしまう。その投資の多くも海辺を飾る波のように泡と化してしまうだろう。市場による淘汰が厳しいものだ。しかし、企業市民としての遵法意識をきちんと持つ企業だけが、こうした試練に耐えて海外市場に根を下ろすことができる。

 中国企業の海外投資はまだ“学費”を払う時期にある。謙虚に海外市場進出の基本常識とノウハウを学び、健全に海外でビジネス活動を進めて成功を収めることを希望する。かつてハイアール、レノボが海外進出する際、私は全力を挙げて支援・支持していた。これからも優秀な中国企業の海外進出に、このような支援・支持を惜しまないと思う。

 しかし、遵法意識の薄い企業に対してはむしろその改善を求める。遵法意識のない企業には、むしろその退場を積極的に求めたい。悪貨が良貨を駆逐するようなことは絶対あってはならない。