番組では、元引きこもりの男性が、パソコン操作が途中でわからなくなり、作業が進まなくなるシーンがあった。この場合、操作がわからなくなった人は、誰かパソコンの得意そうな同僚に助けを求めたりするのが一般的なのだろう。しかし、彼は誰にも声をかけることができずにいた。

 すると、上司が彼の様子に気づいて、こう声をかけたのだ。

「ゆっくり覚えればいいよ」

 この会社は、様々な部署で、他の人でも代わりができる仕事を選び出し、難易度によって分類。ごく簡単な仕事から始めて、段階的に、電話応対といった「引きこもり」系の人が不安を覚えるような仕事にステップアップできるシステムになっていた。

「私、○○と申します。○○さんはいらっしゃいますでしょうか?」
 「○○でございますね。少々お待ちください」

 一見、他愛のないやりとりだが、「電話をかけるのが怖い…」と思っていたような人たちが、こうしたトレーニングを積んでいく。

「話さないと怒られるという気持ちでやっている。でも、人と話すことに抵抗を感じなくなってきた」

 こう元引きこもりの男性がインタビューに答えているところも興味深い。

引きこもる人々の気持ちに寄り添った
理解のある職場づくりを

 長年、引きこもりの問題を追いかけてきた筆者にしても、残念ながら、このような取り組みをしている企業をあまり見たことがない。