哲学者・作家の千葉雅也や
作家の立松和平がOB

【宇都宮高校】華麗なる卒業生人脈!立憲民主党の枝野幸男、作家の立松和平、哲学者・作家の千葉雅也…行動派作家として知られ、独特の方言でテレビにもよく登場した立松和平 Photo:SANKEI

 北関東で有数の進学校だ。全国の県庁所在地にあった旧制一中の栃木県版を前身とする伝統高校で、個性的な文化人や学者を多数、輩出している。

 立命館大大学院先端総合学術研究科教授で、千葉雅也という名の気鋭の哲学者、作家がいる。『ツイッター哲学』『勉強の哲学』などの話題作を経て、22年春刊行の『現代思想入門』はロングセラーが続く。23年の新書大賞も受賞した。

 小説家としても、熱量あふれる仕事をしている。『デッドライン』で野間文芸新人賞を、『マジックミラー』で川端康成文学賞を受賞した。23年には『エレクトリック』で3度目の芥川賞候補になった。

 宇都宮高校時代には美術部に入り、現代美術と芸術批評に夢中になった。東京大に進学し、教養学部で表象文化論を専攻した。パリ留学を経て、東大院博士課程を修了した。

 ギャル男ファッションの表象文化論的研究も行っており、自身もギャル男ファッションを身にまとっていることがある。フランス現代批評と、美術、文学、ファッションなどの批評を連関して行っている。硬軟両面から現実を評価できる論客として、社会的発言を求められることもしばしばだ。今、もっとも注目度が高い若手論客の一人だ。

 文芸・文学では、ロシア文学者の亀山郁夫が、よく知られている。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の新訳など精力的にロシア文学・文学論を発表し、難解といわれるロシア文学を一般にわかりやすく解説した。東京外国語大学長を務めたあと、私立名古屋外国語大学長、世田谷文学館館長などを歴任している。 

 ドイツ文学の研究、翻訳では元東大教授の手塚富雄がその道の大家だった。ゲーテ『ファウスト』をはじめとする広範な訳業で知られ、文化功労者にもなっている。

 小説家では歴史・時代小説で多くのファンがいる中村彰彦が、宇都宮高校を経て東北大国文科卒だ。1994年上半期には、『二つの山河』で直木賞を受賞した。

 行動派作家として知られ、独特の方言でテレビにもよく登場した立松和平は2010年に62歳で死去した。宇都宮高校―早稲田大政経学部卒で、泉鏡花文学賞を受賞している。

 太宰治賞受賞の作家・瀬川深、小説家の生出寿、文芸評論家の村上一郎、児童文学者の千葉省三らもOBだ。