『J-CASTニュース』で知られる株式会社ジェイ・キャストは、昨年11月からシニア向けコミュニティサイト「Slownet」へ「J-CASTテレビウォッチ」の記事配信を開始した。また「Slownet時事川柳」コーナーをニュースページの下に設けて、J-CASTニュース記事を基に「Slownet」ユーザーが投稿した時事川柳の優秀作を、掲載しているという。
このニュース、自分は両社提携の事実よりも、「シニア向けコミュニティサイト」というワードに反応してしまった。SNSに詳しい人にとっては「何を今さら」なのだろうが、「シニア向け」のコミュニティサイトの存在を意識したことのない人も多いはずだ。
団塊世代が大量退職している状況を考えれば、あって当然とはいえ、「自分には関係ない」と思っていると視界には入ってこないものである。試しに「シニア」「SNS」で検索してみると……どうやらたくさんあるようで、不明を恥じるばかりだ。
さて「シニア」の定義はケースバイケースだが、一般には退職者を指すことが多い。これは団塊世代がメインという先の予想の裏づけともなる。しかし2010年3月時点で会員が9万人を突破した「Slownet」を例にとると、団塊世代に相当する60代は14.3%と、意外に少ないのだ。
パソコンやネットへの距離感のせいだろうか。最も多いのはまだ退職前であろう50代で、34.7%もいる。「シニア」というには早い感もある49歳以下がそれに続き、23.6%というのも驚きだ。
さしずめ、退職後のビジネスマンが地元のコミュニティには飽き足らず、出会いを求めてネットへ進出しているのだろう――という読みはあっさりと外れてしまった。「シニア=リタイアした人」ではなく、「シニア=リタイアに備える人」「シニア=大人の自覚のある人」というべきか。
50代というのが狙い目のようで、会員数30万人(!)の「シニアコム」などは、「50歳未満お断り」と言い切っている。また同じく国内最大級の「趣味人倶楽部」(しゅみーとくらぶ)は、「若者向けに提供されているサービスではありません。20代または30代で参加をご希望の方は、その趣旨をご理解の上、ご利用ください」と注意を促している。
つまり20代、30代は「シニア」ではなく、40代がボーダーライン上にあるということだ。40代を迎え同年代以上の大人との会話を楽しみたい向きなら、そろそろいずれかのコミュニティへの参加を考えてもよいかも。
サービスの内容はオーソドックスだ。日記を書く、趣味のサークルに入る、オフ会に出てみる、旅行に出かけるといったところがメインである。だが若者に偉そうに意見されることがない、大人だけのコミュニティという点は魅力的だろう。
運営側から提供される話題にしろ宣伝にしろ、自分たちをターゲットにしたものなので疎外感を覚えることも少ないはずだ。「50歳以上が選ぶ 最近食べにくくなったものランキング」(ちなみに1位は分厚いハンバーガー)で心置きなく盛り上がれる場など、年齢を限定しなければつくれるものではない。
(工藤 渉)