その玉塚氏をパートナーに澤田氏がリヴァンプを立ち上げるが、その後、玉塚氏は大学の先輩である新浪剛史氏(現サントリーホールディングス社長)にヘッドハントされ、ローソンの社長に就任する(現会長兼CEO)。

 リヴァンプとは「刷新する」という意味だ。成長に限界が見えてきた企業に新たな資本と新たな視点を注入することで反転させることを約束してきた2人の経営者が、なぜか今、ファミマとローソンという2つの企業のトップの座にいるのだ。

 さて、この2人が本気でファミマとローソンを反転させることを考えた場合、ベストの打ち手は何だろう。このまま2人の才能ある経営者が別々に会社を率いて成長を目指したとすると、そこで起きることは「2位対3位」の血みどろの戦いである。セブンという最強のプレイヤーを仰ぎ見ながら、弱い相手からシェアを奪って成長することが、業界2位、3位の企業にとって、戦略定石的には最善手だからだ。

 ファミマが反転するためにはローソンの転落が必要であり、ローソンが反転するためにはファミマが転落する必要がある。かつての盟友同士がこうして、経営者人生の頂点で刃を交わす皮肉な運命に直面したわけだ。

2位、3位で争うよりも
合併という戦略は悪くない?

 しかし経営論的には、もう1つ別の打ち手がある。それが両社の合併だ。これが「あり得ない」理由は後ほど解説するが、そのあり得ない理由を除けば、この両社の合併は企業戦略としては悪くない。

 なぜなら、合併により国内店舗数が一気に3万店になるからだ。これをセブンが追撃するには10年以上の時間がかかるだろう。それだけではない。中国やアジアに展開する海外店舗でも、各国各都市で一気にドミナント化(地域を絞って集中的に出店する経営戦略)が進む。成長市場であるアジアにおいても、店舗数でセブンを引き離すことができるようになる。

 さらにファミマとローソンが合併したら、澤田社長の得意領域と玉塚CEOの得意領域は見事に棲み分けることができる。澤田氏が得意なのは本部を頂点とする店舗の全国オペレーションだ。これに対して玉塚氏は、本来は商品開発が得意領域である。それまでユニセックスしかなかったユニクロの商品ラインにWOMENを登場させ、女性売上を増やしたのは玉塚社長(当時)の業績である。

 現在、ローソンもファミマも商品開発が成長の最大のボトルネックになっているのだが、玉塚氏が商品開発に専念できずに経営全般を任されているところに、ローソンの現在の苦境の一端がある。もしここが役割分担できるのであれば、そしてもし澤田・玉塚の共同経営が実現するのであれば、店舗数だけではなく収益性、集客力、商品力、すべてにおいてコンビニ業界トップを狙える体制が実現する可能性があるのだ。