しかし、現実には壁がある。それは両社の株主だ。ファミマの親会社は伊藤忠商事、ローソンの親会社は三菱商事。この商社にはファミマ、ローソンの収益以上に重要なことがある。

 それは小売業界への影響力である。総合商社が大手小売の親会社になる目的は、単にファミマやローソンを発展させて利益を上げることだけではない。惣菜や独自商品の原料として自社で輸入した食品や食材を高く買わせたり、それらの商材の物流を請け負い為替でも儲けたりするなど、子会社に大手流通を持つことは、商社本体の儲けの手段として重要なのだ。

 だから、どちらかがどちらかに株式を売却するのは考えづらいし、2社が合併して伊藤忠商事と三菱商事が同じくらいの規模での大株主になったら、逆に川上の仕入れや商品開発で2つの商社による血みどろの戦いが始まるかもしれない。両商社にとって、2社の合併は見た目上はメリットがないのだ。

 とはいえ、これは話がつかないわけではない。商権を調整することができるかもしれないし、三菱商事側のライフや成城石井、伊藤忠側のユニーまで視野に入れた一大トレードという絵も、描けない絵ではない。

 こうした壁さえ乗り超えられれば、メリットは他にもある。物流やATMにおける日本郵政との提携で言えば、今はローソンからファミマに主軸が移りそうな勢いもあるが、合併すれば全体で日本郵政とがっちり組むことができる。

 ただ、タイミングを図る上で重要な要素となるのが、システムや商品仕入れの統合だ。今、ファミマはサークルKサンクスとの経営統合において、これらにものすごくエネルギーを使っている段階にある。統合が一件落着した後で再び大型合併ともなれば、さらに莫大なエネルギーが必要となるだろう。だからもし両社が合併するとしたら、「今でしょ?」なのである。

新会社のお目付け役には
あの鈴木敏文氏が適任?

 さて、この夢物語に最後に1つオチをつけたい。澤田、玉塚両氏が本領を発揮するためには、本当はその上に「怖~い」最高経営責任者がいたほうが、業績を上げられるはずだ。かつてのボスだった、ユニクロの柳井社長のような人が上で目を光らせていれば、さらに2人は力を出し切れるだろう。

 では、コンビニ業界でそのような力を持て余している人は、どこかにいないだろうか。その観点で考えると、合併会社の最高責任者に鈴木敏文氏を招へいしてみてはどうだろう。

 おあとがよろしいようで――。