世界のリーダー550人の生き方、仕事観、キャリアの分岐点

要約者レビュー

世界のリーダー550人の生き方、仕事観、キャリアの分岐点『世界を動かすリーダーは何を学び、どう考え、何をしてきたのか?』
D.マイケル・リンゼイ, M.G・ヘイガー 著 バートン久美子 翻訳
272ページ
日本実業出版社
1700円(税別)

 本書は、様々な分野で活躍する550人ものリーダーに、その生い立ちから仕事に対する考え方、多忙な中での時間の使い方などを緻密にインタビューした集大成である。彼らはトップとして働く中で何を学び、どのように行動して組織ピラミッドのトップに上りつめたのか。

 著者は「批判的自己移入」という分析技術を取り入れ、インタビュー対象者が語る内容に、より広いフレームワークを見つけて、リーダーの実像を踏み込んで解釈していった。さらには、彼らの回答や素性を細かくデータ化し、世間にあまり知られていないリーダーたちのありのままの姿を浮き彫りにしていく。その結果、著者は、特定の影響力を備えているだけでなく、それを行使し変化を引き起こすことで、人々の信頼と善意を勝ち得る「プラチナリーダー」がいることを突き止めた。彼らはいわば「変化の触媒」であり、リーダーの模範と呼べる存在だ。

 本書に登場するのは、巨大企業のCEO、大統領、名門大学学長など、錚々たるメンバーばかりである。時代を動かすリーダーたちは、キャリア形成において何から影響を受け、マネジメントでどんな問題に直面し、いかに対処してきたのか。こうしたエッセンスが凝縮された一冊だ。これから組織を率いていく人にとっては、この本がプラチナリーダーをめざし、組織を賢く操縦していく際の大きな助けとなるにちがいない。 (平賀 妙子)

本書の要点 

・リーダーの中でも、より大きな影響力を行使している人を「プラチナリーダー」と呼ぶ。リーダーになりつつある人物は、優れたメンターとの繋がりを重視する。育った環境や学歴よりも、優秀なメンターを持っていることのほうが成功のカギとなる。
・プラチナリーダーにとっての分岐点は、大学院在学中か卒業直後である。彼らは広い視野で考える「ゼネラリスト的な姿勢」を養っている。
・優れたリーダーは、結果を重視する「責任倫理」と、自分の信念に従って行動する「心情倫理」という2つの倫理的枠組みをうまく使い分けている。