年間64億円を4年間!
楽天の狙いは?

FCバルセロナの本拠地、カンプ・ノウ・スタジアム。来シーズンから「Rakuten」のロゴを胸にスター選手たちが駆け回る

 先週半ばの16日、サッカーファンなら誰もが驚くニュースが飛び込んできた。現在、世界最強といえるサッカークラブ、FCバルセロナが日本のインターネット通販大手・楽天とメイン・グローバル・パートナー契約を結んだというもの。つまりメインスポンサーとなり、来季からFCバルセロナのユニフォームの胸の部分には「Rakuten」のロゴがプリントされることになるのだ。契約金は年間5500万ユーロ(約64億円)。2017年から2020年シーズンまでの4年間の大型契約だ。

 楽天はスポーツ事業に熱心で、プロ野球では東北楽天ゴールデンイーグルスを保有し経営、JリーグではJ1ヴィッセル神戸のメインスポンサーを務めているが、その知名度は国内にとどまっている。しかし、今回の契約のアピール効果はケタ違いだ。

 FCバルセロナは世界でもトップレベルのスペイン1部リーグ・リーガエスパニョーラを制すること24回、ヨーロッパのナンバー1クラブを決めるUEFAチャンピオンズリーグ優勝5回、世界最強クラブ決定戦FIFAクラブワールドカップの優勝も3回を数える栄光に彩られた名門であり強豪だ。

 所属する選手もリオネル・メッシ(アルゼンチン)、ネイマール(ブラジル)、アンドレス・イニエスタ(スペイン)、ルイス・スアレス(ウルグアイ)、ジェラール・ピケ(スペイン)など世界的スーパースターが顔を揃えている。彼らが胸に「Rakuten」とプリントされたユニフォームを着てプレーすれば、世界中のサッカーファンが楽天という社名を知ることになるし、どんな会社か興味を持つ人も億単位で増えるはずだ。

 楽天は1997年創業。インターネットの普及を背景に画期的なECモール事業を展開して急成長を遂げた。市場を世界に広げようと2008年頃から事業の海外展開に力を入れるようになり、国際的M&Aを積極的に行ってきた。だが、海外展開は想定した結果が得られなかったようで事業の縮小が続いていた。

 しかし、今回のFCバルセロナとのビッグなスポンサー契約を見ると、同社の三木谷浩史会長は海外事業から撤退する気などさらさらなかったに違いない。まずは「Rakuten」のブランドを世界の人々に認知させる。そのうえで改めて攻勢をかけようと考えているのではないだろうか。