こんなエピソードがあります。

 これは、社運もかかるほど重要な案件の意思決定を行う時のことです。意思決定がなされるその直前のシーンをご紹介しましょう。これは、担当役員(以下、A役員)の大阪出張に同行した時の、秘書の私と大阪オフィスのスタッフ(以下、Bさん)とのやりとりです。

私:「今日の午後お世話になりますが、どうぞよろしくお願いします」

Bさん:「こちらこそ。何かありましたら、いつでもお声掛けくださいね」

私:「お心遣いありがとうございます」

Bさん:「早速ですが、お飲物はいかがいたしますか。コーヒー、紅茶、緑茶、それから……」

私:「それではコーヒーを2つお願いできますか」

Bさん:「了解しました。それから、プリンターはお使いになりますか?もしもお使いのようでしたら、プリンターの番号は……」

私:「お気遣いありがとうございます。おそらく使用しないと思いますので、大丈夫です」

Bさん:「そうですか。あっ、お部屋の温度が寒いようでしたら、おっしゃってくださいね。温度調節は……」

私:「ありがとうございます。私のほうで対応させていただきますね」

A役員:「いい加減に1人にさせてくれないか!?」

 A役員は、苦虫を潰したような顔でそう言ったのです。大阪スタッフの方は、役員が大阪オフィスにくるため、粗相の無いように最高のおもてなしで迎え入れようと気を遣ってくれたのですが、その心遣いは、その時のA役員には通じなかったのです。