重要な意思決定がなされる直前は、周りの人たちをも圧倒させるほど、ピリピリとした空気感が漂います。「場の空気が凍る」と言っても過言ではありません。

 一流のリーダーは、「1人の時間を持つ」ことで、自分の頭で熟考し、意思決定を行う準備をしているのです。

 後日談ですが、こんな声が大阪オフィスの人から聞こえてきました。

「秘書だったら気を遣って、A役員に声を掛けてあげたらいいのに……」

大事な決断が迫っているときこそ
「孤独」になることが必要   

 大阪のオフィスの一角で、2時間ずっと無言で沈黙の時間を共有しながら仕事をしていたため、周囲の人たちはあまりの静けさに驚き、また、私たち2人の沈黙を恐れていたのでしょう。お互いに信頼関係が、「沈黙」は決して怖いものではありませんが、周囲からはそのように見られていたのです。

 大きな決断が迫っている時こそ、「孤独」になることが必要である。

 私は大きな決断が迫っている時には、私はリーダーにあえて声を掛けずにそっとしておくようにしました。そして、リーダーが疲れた時や一段落がついた時に、ふと声を掛けたくなるような、声を掛けやすい雰囲気づくりを心掛けていました。緊張感のなかで仕事に専念している上司の「時間」と「空間」を尊重するようにしていたのです。

 無事、重要な案件の意思決定がなされた瞬間、まるで別人のような顔つきになることがよくありました。そして、ホッとした表情で笑顔とともに冗談やたわいもないことを話す姿をみて、「本当によかった」と嬉しく感じたものです。

 一瞬でも油断すると心が折れてしまいそうな緊張感が漂うなか、一心不乱に仕事をする深淵な孤独を身にまとう人は、近づきがたいものです。

 大きな案件に関して意思決定がなされる場合、部下をはじめ同僚、他部門の人たちまで、それぞれの立場でいろいろな意見を伝えてきます。周囲の言うことに耳を傾けることは確かに大切ですが、多種多様な意見に翻弄されているようでは、的確な意思決定をすることはできません。そのため、どうしても「1人になる時間」が必要になってきます。