最近、「セカイ系」と呼ばれる人たちが増えているという。
セカイ系とは、自分自身の思考が、内面にある「自分」の問題の次に、平和や環境といった「世界」の出来事があるという意識傾向を持った人たちのことだそうで、その「自分」と「世界」をつなぐ「真ん中」がすっぽり抜けているのが特徴だ。
元々、インターネット上で広まった言葉らしいのだが、引きこもる人たちの間でも、そのまま自らに当てはめて、使われるようになったようだという。長年、引きこもる若者たちの支援や就労活動に携わってきたNPO法人「育て上げネット」(東京都立川市)理事長の工藤啓さんによると、当事者自らが「自分はセカイ系だから…」などとネーミングしているらしい。
工藤さんによると、こうした「思考が自分の次にセカイ」という意識傾向を持った人たちは、自らの頭が良すぎるために、自分は動けないけど、机上で「世界や社会には問題があるのではないか」と常に考えているタイプが結構多いそうなのだ。
もちろん、意識的に、あるいは特性として真ん中が抜けている人もいる。また、何らかの医療的な問題があって、「自分」と「世界」がいきなりつながってしまう人たちもいるので、一概にくくれない部分もあるのかもしれない。
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「セカイ系」の人々にある孤独
ただ、なかなか仕事に就くことができずにいるのに、政治や経済だけでなく、社会とか文化とかの話になると、とうとうと語り出す人たちを「引きこもり」の取材現場でも何人か見てきた。
「子どものころ見ていたドラマの『金八先生』シリーズが終わるらしいけど、当時流行った“ツッパリ”とか“なめ猫”とか、意図が理解できなかったんです」
先日も、20年近く引きこもっている40代の男性が、食事しながらインタビューしているときに、そんな話を唐突に切り出してきて、こう続けた。