スーパーフォーミング加工された継ぎ目のないアルミ製フロントフェンダーにヘッドランプは段差もなくはめこまれた作りのよさ

 

 日本では2016年秋からデリバリーが始まったベントレー・ベンテイガ。大出力のエンジン、オンロードでの走行快適性とオフロードでの走破性を兼ね備えたシャシー、大事なところはすべてクラフツマンが手がけた質感の高いインテリア…。すべてにわたって一頭地を抜く性能ぶりを発揮する。

 ふつうクルマで特等席というとドライバーズシートだけれど、ベンテイガの場合、後席も捨てがたい。レザー、ウッド、クロームで構成され足下は広く頭上には大きなグラスサンルーフという高級リムジンと同様の居心地のよさだからだ。SUVという一般的にはオフロード性能かスポーティな操縦性が喧伝される。ベンテイガのような尺度で作られたSUVはほぼ存在しなかったといってもよい。

 

2995 ミリのホイールベースを持つシャシーに全長×全幅×全高=5150 ×1995×1755ミリのボディが載る

 

 走りはまっさきに特筆すべき点である。

 447kW(608ps)@5250-6000rpmの最高出力と900Nm@1250-4500rpmの最大トルクを持つ12気筒エンジンに8段オートマチック変速機の組合せ。走らせての印象は、とにかく力がありあまるほどあるというもの。乗りはじめはアクセルワークにも気をつかう。慎重にアクセルペダルを踏まないと頭がのけぞるほどの加速なのだ。エンジンは比較的高回転型なのでアクセルペダルを踏み続けるとどこまでも加速が続いていく感覚だ。

 全長5150ミリ、全高1755ミリという車体サイズに気圧されることもあり、走りはじめは慎重になってしまう。しかし冷静になってみると、車体のロールは大きくなく、ステアリングホイールは期待以上に正確。ベントレー・ダイナミックライド(48Vの電動式アクティブロールコントロール)と電動パワーステアリングの恩恵だろう。

 

フロントシートは英国の工場でハンドクラフトされるうえレザーハイドは15種類も用意されているし、ウッドパネルは7通りから選べる

 

 ベンテイガ独等の操縦性をごく縮めて表現すると、ふつうのセダン感覚で扱える、となる。ふつうとは言い過ぎかもしれない。英語でふつうはオーディナリーで、そのうえはエクストラオーディナリー。ベンテイガもふつうを超越したクルマだ。電子デバイスの助けを借りているとはいえ、ロールを抑えながら箱根のワインディングロードだろうが気持ちよく走りまわることが出来るのである。

 ご存知のひともいるだろうが、ベントレーモーターズは1920年代から30年代にかけて欧州のレースで活躍したブランドだ。

 大きな車体にパワフルなエンジンの組合せはベンテイガをはじめとする昨今のベントレー車に共通する。かつては“世界一速いトラック”と英国のジャーナリズムによってニックネームをつけられていたとか。ベンテイガについても、この大きな車体をまるでスポーツカーのように走らせられるシャシー設計と、サスペンションやステアリングホイールの制御技術にはいたく感心した。