どうして仕事を長続きさせられたのか。月乃さんは、当事者グループのスタッフから「君は長い間働いていないから、すぐに働きに出ても挫折しちゃうよ」とアドバイスされたという。

 そこで、まずメガネを製作する会社や清掃会社で、1日1~2時間のバイトからスタート。何度も辞めたいと思ったときの支えは、相談相手である同じ経験をしてきた当事者の先輩からの「もう少しだけ、頑張ってみたら」という言葉だった。

 居場所での仲間の支えが大事だというのは、まさにこのことなのだろう。

 こうして月乃さんは、1年かけて少しずつ仕事の時間を増やし、フルタイムでも働けるようになった。

 ちょっと元気になると、すぐに働きたがったり、家族も本人を働かせたがったりする。でも、そうではない。

 まず当事者の仲間がいる居場所に通えることや、バスなどの公共機関に乗れること、カフェなどでお茶を飲んで話すことができるようになってから、その次に1時間くらいの仕事に就くことができる。1年くらいの時間をかけないと、また戻ってしまうと、月乃さんはいう。

 大切なのは、無理をしないで、できる範囲でトレーニングしていくことだ。

 別のグループでは、仲間から「ただ、ひたすら弁当を食べていればいい」といわれた。

 皆の前で、お弁当を食べながら、面白いことや洒落たことをいわなければいけないと思うと、それが理由でもがき苦しみ、疲れてしまう。それが最後まで弁当を食べられるようになれば、第1段階は終了というわけだ。

「当事者の先輩の言葉がすべてだった」

 と、月乃さんは振り返る。