ダイヤモンド・オンラインでコラムを連載していた作家の江上剛氏が、このほど『働き方という病』という本を上梓した。全6章から構成され、「上司とそりが合わなかったら?」「天職を見つけるには?」「不正を見つけてしまったら?」など、およそビジネスパーソンが出合うであろう悩みや試練46ケースに江上流で応えている。そのベースにあるのは「論語」に代表される中国の古典だ。江上氏がこの本に寄せた思いとは?(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集委員 原 英次郎)

──今なぜ「働き方」というテーマを世に問いかけたいと思われたのですか。

 やはり電通の過労死事件が大きいですね。私もサラリーマン時代、大変な時間外労働をしましたし、人事部にも在籍していましたから、働き方については絶えず考えてきたのです。また過労死の裁判に原告側で協力したことがきっかけで『企業戦士』(講談社文庫)という小説を出版しましたからね。

──安倍政権も「働き方改革」に取り組んでいます。今回の著書も「働き方の指針」を示したものですが、タイトルは「働き方という病」となっています。「病」に、どんな思いを込められたのですか。

 働き方は同一労働同一賃金や時間外労働の削減など政策面でフォローすべき課題が多いのも確かです。しかしそれ以上に、働く人の精神が健康である必要があると思っています。電通は過労死事件の後、夜10時に全社消灯を実施しているようですが、あれを見て「ああ、病んでいるな」と思いました。あれでは根本的な解決にならないだろうと思ったのです。

 過労死は必ずパワハラがセットになっているからです。誤解を恐れずに言うと、人は残業時間が多くて自殺するのではないと思っています。私が協力した過労死裁判もそうでしたが、必ずパワハラが原因です。ではなぜパワハラが横行するのか?それは職場が病んでいるからです。その病を解決するヒントになればとの思いを込めて「病」とつけました。