家具大手のニトリホールディングス(HD)が、これまで“空白地帯”だった大都市への出店を加速させている。百貨店など好立地だが苦戦が続く商業施設へのテナント出店に軸足を移し、客層拡大を狙っているのだ。
「乗降客数が世界一多い新宿への出店は、長年の憧れだった。今のニトリの全力を尽くした店がどう評価されるか、大学入試の日のようにドキドキしている」
12月1日、高島屋新宿店が入る商業施設「タカシマヤタイムズスクエア」内の新店オープンを前に、ニトリHDの似鳥昭雄会長は感慨深げに語った。
ここは8月まで紀伊國屋書店が入居していた場所だ。当初、高島屋側は高島屋港南台店(横浜市・9月にニトリ開業)への出店を打診。ニトリはその交換条件としてタイムズスクエアへの出店を求め、悲願の新宿進出を果たした。
今回の出店は国内420店目、東京23区内では19店目となる。狙うのは、車を保有していない新たな客層の掘り起こしだ。新宿という立地を考慮し、約6200品目のうち家具は650品目にとどめ、キッチンや洗濯掃除用品といった日用雑貨を充実させ、実に9割を雑貨が占める商品構成とした。