2017年1月、トランプ米大統領が誕生する。米英が保護主義へ傾斜する中、多くの製造業が生産・販売拠点のグローバルな最適配置の再考を迫られている。米国依存度が高い富士重工業の吉永泰之社長に、米政権交代の影響について聞いた。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

よしなが・やすゆき/東京都出身、62歳。1977年成蹊大学卒業後、富士重工業入社。国内営業本部長時代に「アイサイト」を原価の10万円でオプション販売する提案をした。2011年6月に社長就任。 Photo by Kazutoshi Sumitomo

──米トランプ政権が誕生します。富士重工業は販売の6割、生産の3割を米国に依存していますが、米国の経済政策の変更が経営に与えるインパクトをどのように想定していますか。

 富士重にとってさしたるリスクはありません。トランプさんは、あれだけ「米国ファースト」と言っているので、米国景気が悪くなるような政策は打たないですよね。2017年もスバルブランドは順調にイケると思っています。

──確かに、新政権は米国内での生産・販売を優遇する政策を取る公算が大きく、富士重にとってプラスに働くかもしれません。しかし、時を同じくして米英が保護主義へ傾斜したことで、製造業は(生産・販売拠点の)グローバルな最適配置の再考を迫られています。企業が一国に依存するリスクが顕在化したともいえませんか?

 富士重は100万台そこそこの会社です。自動車メーカーがグローバル展開することでリスクを回避できるのは、トヨタ自動車や日産自動車のような規模があってこそ。富士重が世界中に進出して、平均的な車を造ったとしても、固定費負担が重く勝ち目はありませんよね。むしろ、とんがった個性が喪失し、スバルがスバルでなくなってしまいます。

 富士重が米国一本足だといわれればその通り。中規模以下のメーカーは、リスクに晒されるのだと覚悟を決めて、その晒され度合いを和らげる方法を準備しておくしかありません。どこかの地域に集中せざるを得ないならば、米国がいちばん安全だと思います。

 逆説的ですが、今、中国でナンバーワンのシェアを持っていることの方がリスクですよね。独ポルシェが100万円も値引きして販売されるような過当競争がまかり通っています。中国やロシアが政治的に安定したときには本気で販売を伸ばしたいですが、値引き競争に突っ込んでまでエリアを広げても意味はありません。

──17年3月期決算は、販売は好調なのに、為替の影響で減益です。ドルに対する為替感応度の高さも、受け入れるしかないのですか。