バブル期は虎の毛皮や2000万円のダイヤが持ち込まれるなど客の景気も回転も良く、好景気を謳歌した。バブル崩壊後は多角化で経営力強化を図ろうとブランド品の買い取り店を併設。だが昨年の収益はピーク(1990年代後半)の半分まで減少し、閉店を決めた。

 店主が収益減の要因に挙げるのは中国経済の衰退だ。実は近年、好調な中国経済に円安も重なって、質流れしたり買い取ったりしたブランド品や宝石は、古物商マーケットを通じて高値で中国に流れていた。大口客が減少する中で収益の大きな柱だったが、昨年ごろからその相場も総じて2割超下がってきたという。

物を担保に金貸す質屋の商売を
4割が「知らない」

 業界も危機感は共有しており、一部で動きだしている。

 現状を把握しようと、全国2番目の規模の大阪質屋協同組合(約230店加盟)は昨年、全国的に珍しい市民アンケート(20代以上1149人対象)を街頭とインターネットで実施した。だが、その結果は、店主らにあまりにも酷な現実を突き付けた。

 質屋の印象を尋ねたところ、「暗くて入りにくい」「古くさくイメージが悪い」など散々なものだった。「質屋でお金を借りられる」ことすら知らない人が44%もいた。また「急にお金が必要なとき、質屋を利用したいか」との問いに、90%がNOと答えた。理由は「イメージが悪い」「他で借りられる」「どこにあるか分からない」などが上位を占めた。

 極め付きは、「質屋とどちらを利用したいか」との問いに、約5倍差でライバルの買い取り専門店・リサイクルショップが選ばれたことだ。繁華街に多いそれらとは対照的に、質屋は質屋営業法で保管庫(蔵)設置を原則義務付けられていることなどから、目立たない場所に多いことも災いとなっているようだ。

大阪・ミナミの繁華街を歩くと、買い取り専門店が目立つ Photo by Masataka Tsuchimoto

 組合の疋田吉継・常務理事は「ある程度予想はしていたが、思いの外厳しいものだった」と落胆する一方、「伝統ある庶民金融として気軽に使ってもらいたい。ユーチューブなどを駆使して広報し、待ちの姿勢ではなく打って出たい」と前向きに話す。

「質屋は世相を映す鏡」とは、業界内で伝えられてきた言葉だ。集まる物を見れば世のはやり廃りが見え、出入りする客の話を聞けば景気が分かる。物も人も集まらない時代の質屋は、どんな世相を映しているのだろうか。

 その答えを、ある質屋店主は「物に執着しなくなった世」と解く。物にこだわりがないので、後日取り戻すことを前提にした質屋より、買い取り専門店やリサイクルショップに持ち込んだ方が後腐れなくていい。そもそも物への憧れもあまりない時代だから、質草(時計、ブランド品など)の流通も減少している。「質屋がはやらないわけだ」と店主は嘆くのだ。