ターゲット層は「経済的に苦しく、新車が買えない若者たち」と同社のスタッフは言う。そのために価格はローンを組まなくてもギリギリ若者が買えそうな7000ドル(約83万円)台に抑えたとのことだ。

身近なニーズがヒントになった
女性客専用の配車サービス

女性客専用の配車サービス「See Jane Go」。人物写真左が創設者のティファニー・ジョーダン氏

 車の開発ばかりがスタートアップ企業の腕の見せ所ではない。車関係のユニークなサービスも次々と発表されている。

 女性ドライバーによる女性客専用の配車サービス「See Jane Go」(シー・ジェイン・ゴー)はその1つ。同社を創設したティファニー・ジョーダン氏は、18歳の娘がウーバーを利用して帰宅した際にこうつぶやいたのを聞いた。

「私、1人で夜ウーバーに乗るのが怖い。ドライバーが全員女性の配車ビジネスがあればいいのに……」

 ジョーダン氏が住むカリフォルニア州のラグナビーチ地域では、11月に、ウーバーの男性運転手が17歳の女性客を車内でレイプした容疑で逮捕される事件が起きた。また、同州サンディエゴでもウーバー運転手による客への性犯罪事件が起きている。

 ジョーダン氏らが地元の女性たちに聞き込み調査をしたところ、10代の若い女性ばかりだけではなく、35歳以上の高収入の女性たちの間でも、女性ドライバーを望む声が特に高いことがわかった。

「夜でも安心できる女性ドライバーの運転であれば、チップをはずんででも、ぜひ乗りたいという声が多かった」とジョーダン氏。

 そこで、同州のオレンジ郡を拠点にしている400人の女性ドライバーと契約し、女性客専用のサービスを開始した。契約している女性ドライバーの数がまだ少ないため、ウーバーのように、アプリで予約してから5分以内に客の元へ到着するのは不可能であるが、予約後20分以内にはほとんどの客の元に到着することが可能だと言う。

 ウーバーと比較すると、料金は8~10ドルと割高である。チップも料金の10~25%の範囲で客が選んで払う仕組みになっており、チップ不要のウーバーとは異なる。

「女性ドライバーにとっても、夜、泥酔した男性客を乗せなくて済むため、ピーク時の夜の稼ぎ時に不安なくガンガン稼ぐことができて好評ですよ」とジョーダン氏は言う。

 10年以上の古いクルマは検査をパスさせないなど、ジョーダン氏の会社は安心・安全面で万全を期している。スマホを持たない高齢者の女性たちからも、「サービスを利用したい」という声が上がったため、同社では電話通話による予約も始めたばかりだ。