2017年の中国経済には、米国トランプ政権の発足と共産党指導部の改選というビッグイベントが控える。有力な外資系投資銀行の見方を概観しながら、新年の中国経済の行方を考察してみよう。(在北京ジャーナリスト 陳言)

 新年早々の1月20日には、米国で中国との貿易に厳しい姿勢を見せるトランンプ新政権が発足する。秋には5年に一度の中国共産党の全国代表者会議が開催され、首脳陣の改選が行われる。その意味で、世界第2の経済大国である中国経済の行方には大きな注目が集まる。

 果たして、2017年の中国経済はどう動くのか。昨年末に出た著名な外資系投資銀行8社が発表した2017年の展望レポートや、その研究部門の高級幹部が発表した評論などは偶然とも思われるほど一致している。ここではそのレポートで語られた17年の中国経済に関する見解を総括したい。

 多くの専門家は17年における中国のGDP(国内総生産)成長率は、16年よりもう少し下がり、6.5%程度で安定していくだろうと見込んでいる。中国では16年に1000万人の新規雇用が生み出され、失業はあまり問題になっていない。

 16年12月14〜16日、17年の経済政策を討議する中央経済活動会議が開かれた。国家発展改革委員会の学術委員会の張燕生事務局長によると、「経済発展の新常態について重大な判断を下し、いままでの規模や発展速度の追求から品質や効率への追求にシフトしていく。それに供給サイドの改革を断行して、さらにイノベーションによって経済発展のモデルを変えていく」と語り、安定の維持が大きな特徴となっている。

 それでは外資系投資銀行の予測を概観してみよう。

共産党指導部改選もあり
中国経済は安定維持が通認識

 マクロ経済の側面からすると、中国経済の成長は市場予想を上回っている。各大手投資銀行は次々に中国のGDP成長率に対する予測を上方修正している。