中国の覇権主義は底堅い経済を背景にますます強固化する

習近平の権力基盤強化の狙い!?
底堅い中国経済

 中国経済が底堅い。小型車減税に支えられ自動車販売台数は増加し、サービス業の景況感も改善している。米国を中心に株式市場が上昇する中、上海総合株式指数も水準を戻してきた。人民元安への懸念はあるが、すぐに大きな混乱が起きることはなさそうだ。

 足元の経済安定の裏には、習近平の権力基盤強化の狙いがありそうだ。特に、来年の2017年には5年に1度の共産党党大会が開催される。中国の最高意思決定機関とされる党大会に向け、習近平は2期目の体制整備を進め、誰も近寄れないほどの強固な権力体制を築きたいところだろう。党内のライバル排除と財政出動による景気下支えが続くだろう。

 また、習近平は“中華思想”(漢民族が世界の中心となって繁栄を謳歌する)の考えに基づき、中国の存在感を内外に誇示しようともするだろう。具体的には、海洋進出や中国を中心とする経済連携協定の策定などに力点が置かれると見られる。

 これまで以上に中国が覇権の強化を目指す中、米国のトランプ次期大統領がどのように対応していくかが注目される。

 12月2日、トランプ次期大統領は台湾の蔡英文総統と電話で協議した。トランプ氏が“一つの中国”の原則に揺さぶりをかけることで、米国に有利な通商上の条件を引き出そうとの見方もある。様々な見方がある中、同氏の本当の狙いがどこにあるかは必ずしも定かではない。中国も、トランプ氏の本心を注意深く探っているところだろう。

 2017年、世界経済が政治の年に突入する中、習近平は一層の権力基盤の強化を目指す。米国がどうであれ、この基本路線に変わりはないだろう。今後の中国の経済、外交政策がどう進むかは、国際情勢に無視できない影響を与えるファクターと考える必要がある。