一番大きく変化するのはモノの価値でしょう。

 『限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』(ジェレミー・リフキン著・柴田裕之訳/NHK出版)はこの年末年始に読んだ本の中で最も示唆に富んでいました。

「限界費用ゼロ」とは、一単位余分に作って提供することで、かかる負荷的なコストがほとんどゼロであることを意味しています。つまり、初期投資はあるものの、それ以降はほとんどお金がかからない、というものです。たとえば、コンピューターのソフトウエアや再生可能エネルギーなどがあります。

 特にエネルギーに関しては、将来、自分の使うエネルギーは自分で作る時代が来ると著者は主張します。この時、巨大電力会社の存在は不要になります。

 情報に関しても、最近では一流大学の講義もほぼ無料で受講することができるようになってきました。これはMOOC(Massive Open Online Course;インターネットを使って講義をすること)の流れです。

 こうなると、十年一日、同じ講義を行う大学の先生は価値がなくなってしまいます。では、価値を生み出すために、大学教授はどんな役割が求められるのでしょうか。

 それは、クラスを巧みにファシリテートし、一人ひとりに考えさせ、気づかせる役割が求められます。このファシリテーション(会議などの集団活動がスムーズに進むように、成果が出るように支援すること)こそが、最も重要な時代のキーワードなのです。つまり、「Post-Truth」、衆愚政治を打開する妙手もファシリテーションです。一人ひとりにただ任せない。さりとて決めつけることもしない。政治で言えば、真の民主主義時代の到来を切望しているのです。

UBERの登場でタクシー運転手に
求められるスキルとは…

 時代は大きく変わろうとしています。本連載の第26回第32回において、多くの職業がAI(人工知能)に奪われると紹介しました。

 たとえば先述した自動運転は、まさに運転手の役割を変えるでしょう。運転手そのものがいらなくなるかもしれません。そうなると年末年始に大きな話題となった物流人材の不足問題もなくなります。

 タクシーの運転手はアメリカ発の配車アプリ「UBER」(ウーバー;専用アプリを通じてハイヤー等を予約利用できるスマホ向けのサービス)の出現で求められる価値が大きく変わります。