確証バイアスとは、自分の価値観や信念に沿った情報のみを探そうとしたり、あるいはそれらを過剰に支持したり、逆に自分の価値観に沿わない情報を無視したりするバイアスだ。もともとある種の価値観を持っている人は、自分にとって心地良い情報だけを探そうとする。

 ネットが発達し、かつてとは比較にならないほど多岐にわたる情報が手に入るようになった。だが皮肉なことに、このバイアスのせいで、人は「自分にとって心地良い情報だけを」自由に選択することができるようになってしまった。選択肢が増えても自分の味方の選択しか見ない。トランプ氏のように影響力が大きい人物のツイートには、膨大な数の反応がある。しかし彼は自分を支持する意見だけを選択して見ることができるのだ。結果として、自分とは価値観の違う人と生産的に意見を交わすことが難しくなり、感情的な炎上やバトルに突入してしまう。

反射的なレスは感情的・
短絡的になりやすい

 またツイッターなどの短文ブログは、事故や災害のときに迅速な情報提供ができる強みもあるが、意見や考えの表明の際には、別のバイアスがかかりやすい。これはノーベル賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマンのよぶ「ファストシンキング」というものだ。

 人は時間的に切迫しているとき、大きなプレッシャーがあるときなどには、熟考せず、短絡的、感情的な反応をしやすい。自分の価値観に反する書き込みを見て、頭に血が上り、すぐにツイッターに感情的な反応を書き込むのはその典型だ。当然、そういった感情的なレスの応酬は炎上につながる。

 そして大事なのは、本来言葉を最も選んで発言するべき立場にある人々さえも、そうした反応をあからさまにするようになってきた、という事実だ。トランプ次期大統領はその典型だし、日本の政治家の中にもそういった反応で問題を起こす人が増えてきたように思う。

 そういった反応がどんどん増えてくる背景には、実はもうひとつ、ある種の「集団心理バイアス」が作用している。集団意思決定における「隠れたプロファイル」という現象だ。

大勢に共有されている情報は
より重要だと思い込まれがち

 これは、集団で物事を決定するとき、メンバーは自分が独自に持っている情報よりも、皆が共有して持っている情報を重視して決定してしまいがちだという現象である。

 例えば、政治的に極端な価値観を持っている人が、上に挙げた様々なバイアスにより、自分の価値観にマッチした情報ばかりを求め、そういった人たちが集まる掲示板に書き込みをする。そこでやり取りされる情報は、自分の価値観を支持し、皆に広く共有されているものが多くなる。