なぜ、ただのパイプ椅子が
1脚8000万円もするのか?

 社長室に私の椅子はありません。
 でも、「この椅子は1脚8000万円也」という札がかけられた椅子が4脚あります。
 実際には、買った値段は1脚1万円もしません。

 では、なんの変哲もないパイプ椅子が、どうして8000万円になったのでしょうか。
 それは、
「過去に犯した大失敗が、形骸化しないようにするため」
 です。

 私は新規事業に失敗し、総額3億2000万円の損失を被りました。
 事業を撤退した後に残ったのは4脚の椅子だけでした。
 そこで、この失敗を糧かてにするために、「1脚8000万円」の札をかけた。
 この椅子は自らを戒めるために常に社長室に置いており、武蔵野の現地見学会に参加した方にも公開しています。

 ここまで「椅子なし」の取り組みを紹介してきましたが、武蔵野ではすべての従業員に椅子がないわけではありません。
 社長、営業関係の管理職以上の椅子はありませんが、総務や経理関係部署には椅子があります。
 いつもいろいろな企業の社長にも言っていますが、要は椅子が必要な部署と取っ払うべき部署を社長自身が自分の頭で考え見極め、ケース・バイ・ケースで判断する。
 これが大事です。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/