従業員も十勝産?!

 毎日、客が押しかけているから、従業員はてんてこまいだ。杉山社長に訊ねたら、「常勤の6名は帯広から連れてきました」とのこと。働く人間もまた十勝産なのである。

「内装に使っているカラマツ、タモも地元の材木ですし、パンを置く台座には麦わらを使っています。何から何まですべて、十勝の材料にこだわりたいのです」

 メディアに登場する料理人は、何かのひとつ覚えのように「こだわり」という言葉を使う。いわく「仕入れる魚にこだわってます」とか「このしめさばはこだわりの品です」などと……。

 しかし、本当の意味で「こだわり」を使うのならば、内装、店、人、材料、水まですべて十勝から持ってくるくらいのことをしなくてはいけないのではないか。市場に行って、鮪を買ってきたくらいのことで、「こだわってます」と言われても、こちらが困る。

 さて、こだわりの話は置いておいて、「いちばん、小麦の味がわかるパンは何ですか?」と杉山に訊ねた。

「チャバタです。イタリアのパンですけれど、小麦粉、塩、水しか使っていません。しかも、うちではキタノカオリ、はるきらりといった小麦の品種別にチャバタを焼いています」

 わたしは、はるきらりのチャバタを買ってきて、満寿屋の隣にあるスーパーいなげやに入った。そこで、チーズとハム(どちらも国産)を買い、チャバタにはさんだ。公園に行き、ベンチに腰掛けてチャバタサンドを食べた。

 確信はできないけれど、国産小麦は香りが強いように感じた。

 


「満寿屋商店 東京本店 (マスヤショウテン)」

◆住所
東京都目黒区八雲1-12-8 鶴田ビル 1F
※東急東横線「都立大学駅」から徒歩5分
◆電話
03-6421-2604
◆営業時間
10:00~19:00、水曜定休