東日本大震災から1週間が経過した。しかし、未だに強い余震が襲ううえに、原発事故の問題が続いており、災害は終わっていない。そうしたなか早急に求められるのが、被災者に対する生活支援を含めた復旧・復興策だ。与野党が歩み寄って補正予算、特別立法成立などの面で連携をはじめているが、本当に求められる国の対応策はどのようなものだろうか。1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災の際、与党の1つ新党さきがけにて震災復興にあたった福山大学客員教授の田中秀征氏に、今こそ国に求められる緊急対応策について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

緊急的に必要な被災地への対応策
補正予算の早急な通過を求める

――東日本大震災による余震や原発事故などの問題が収まらず、現在も混沌とした状況にある。こうした“国家の危機”ともいえる事態を乗り切るため、国にはどのような緊急的な対応が求められるか。

危機が続く今、国家が本当に果たすべき役割<br />――田中秀征・福山大学客員教授 特別インタビュー田中秀征・福山大学客員教授

 今回発生した東日本大震災は、阪神淡路大震災のときと異なり、1週間が経過した今も大きな余震の可能性が高く、二次災害の恐れがあるうえ、原発事故の問題も抱えている。危機が続いているなかで、私自身、今はまだ復興を本格的に語る時期ではないと考えている。今考えなければいけないのは、緊急的に求められる災害や被災地への対応策だ。

 復旧・復興を段階にわけると、第1段階はがれきの処置、そして第2段階として水道、電気、道路、橋などの社会インフラの整備が必要だ。これには膨大な資金がかかることになる。そして第3段階として経済再編や雇用環境の整備が必要となる。当然、その間ずっと避難民の人たちの生活支援を行わなければならない。

 そのなかでも真っ先にやるべきこととして挙げられるのが、津波で甚大な被害を受けた市街地の「がれきの処理」、そして「被災者への支援」の2つである。被災者の支援にはハードとソフトがあり、ハード面では仮設住宅、ソフト面では日常生活に困らない食料や水の供給、そして精神面でのケアが必要となる。