スワップは助け合いの双務契約
信用がなければ成立しない

 あっけなく約束を反故にするようでは、国際的な信頼はどんどんなくなっていくだろう。麻生太郎財務大臣は「約束した話が守られないなら、貸した金が帰ってくる可能性もない」と話し、スワップの早期再開に否定的だ。しかし、この発言を暴言とする向きもある。

「貸した金も返ってこないというのは、暴言ではないですね。韓国経済はかなり追いつめられていますから。韓国の銀行はドル不足に陥っていて、邦銀などからドルを借りています。何かの拍子に韓国の銀行が1行でもデフォルト、債務不履行となれば、韓国すべての金融機関が取引を打ち切られる可能性が高い。スワップを結んでいれば、日本がバックについているということで極端なウォン売りは起こらないでしょうが…」

 日本は今まで何度も韓国を経済的に救済している。しかし、それは韓国ではほとんど報じられていない。それどころか日本のせいで状況が悪化したと批判するのが常だ。

「この先も韓国が変わることはないでしょう。2011年に日本がスワップを700億ドル積み増しし、辛うじて通貨危機を乗り切ったことがありましたが、1年も経たないうちに手の平を返して大統領が竹島に上陸した。さらに慰安婦問題を蒸し返し、天皇陛下に謝罪を要求。韓国は恩を仇で返すばかりです。そして約束を守らない。2国間スワップは助け合いの双務契約です。信用がなければ成立しないのです」

 では、今回の対抗措置という名の制裁も効き目がないのだろうか。

「確かに韓国は強硬姿勢に驚いています。でも日本はすぐに解除するとも思っているので、それほど心配していないでしょう。大統領が交代し、左派政権が誕生して米国にTHAAD配備を認めないと言えば中国がスワップを延長してくれるので、日本は不要になる。そうすればまたやりたい放題になる。日本政府は今後のことを考えて、簡単に制裁を解除しないことが求められます。通貨スワップは経済問題ではなく、政治問題です」

 JNNの世論調査によれば、韓国への対抗措置発動後、安倍内閣の支持率が67%に急上昇したという。振り上げた「一時帰国」の拳をすぐに下ろせば、この支持率がどうなるか。今回ばかりは「不可逆的」に解決がなされなければ日本国民は納得しないだろう。

◆真田 幸光(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)。1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年愛知淑徳大学。現在に至る。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メンバー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍。
著書/「早わかり韓国―文化が見える・社会が読める」(日本実業出版社)「世界の富の99%を動かす英国王室、その金庫番のユダヤ資本」(宝島社)など多数。