ニセの願望は、それが実現しても
心からの幸せを感じることはない
彼女には、男に勝たなければならない根深い理由があったのです。
でも、彼女の「男に勝ちたい!」という想いは、本心からの望みではありませんでした。
「女性の私では認めてもらえない」→「男になれば認めてもらえる」→「男に勝つことでそれを証明する」という形で、痛みを解消するためにつくられたニセの願望だったのです。
けれども、そんなニセの願望が思考を支配しているから、何か問題が起こるたびに、彼女は「男性に負けないような結果を出すためにはどうするか?」という自問自答を繰り返してしまっていました。
ニセの願望とは、自分が心から望んだものではありません。
自分の心が傷つき、その痛みをなくすために、仕方なくつくったものなのです。
つまり、「女では認められないから辛い」→「認められるために男に勝つ」とか、 「貧乏だとバカにされるから嫌だ」→「金持ちになって人を見返す」などです。
「男に勝つ」なんて、本当は彼女も本心では、そんなことはしたくないのです。
でも、心の痛みが大きいから、そう考えざるを得ない。
だから、たとえニセの願望が叶ったとしても幸せにはなれません。
現に彼女は、営業の仕事で男性に勝っていたのに、心はまったく満たされていませんでした。
ニセの願望は、それが実現しても、心からの幸せを感じることがありません。
彼女はこの事実に気づいて、幸せな人生への第一歩を踏み出しました。
あなたもこのニセの願望のことを理解すれば、今抱えている悩みや苦しみの正体がわかり、それを捨て去る手段もわかってくるでしょう。
一般社団法人コーチングカレッジ 代表理事
1971年生まれ。立教大学卒業後、「文化の異なる人々の架け橋になりたい」と伊藤忠商事に入社。 10年間、不動産事業、貿易事業、海外植林事業、コンビニエンスストア事業に関わる。 2004年、伊藤忠商事を退職しイベント企画運営会社を設立。心理学とビジネスに関するセミナーを年間200回以上主催。 石原明氏、棚田克彦氏、マイケル・ボルダック氏などの講座をプロモートする。 無名講師をプロデュースして、短期間でトップ講演家・トップコーチ・30万部ベストセラー作家・年収9000万円にするなどの手腕には定評がある。
スピードチェンジ・ジャパン株式会社にて800人の認定コーチを輩出し、一般社団法人コーチングカレッジにて600人の卒業生を育成。セルフプロモートにより自身も人気コーチとなり一時は申込が9ヵ月待ちに。
分かりやすいセミナーと親しみやすい人柄で、経営者から会社員、主婦、学生まで幅広く人気がある。2015年9月に悪性リンパ腫を宣告されたが、約半年間 抗ガン剤治療に専念し、2016年春に寛解。ガンを「ギフトだった」と言い、さらなる幸せと発展に生かしたコーチング技術は、逆境にある人たちを励まして いる。
訳書に『目標達成する技術』『人を動かす技術』等(累計30万部)がある。
※次回は、2月6日(月)に掲載します。