環境基準の100倍が「低濃度」
これで世界は納得するのか?

 そうして隠蔽の事実を明らかにした途端、東京電力は今度は1万1千トン以上の「低濃度」の放射能汚染水を海洋に流すという決定を下し、即日実行に移したのだ。

 毎時8トン以上の冷却水を注水しているのだから、貯蔵タンクもすぐに満杯になることはわかっていた。

 だが、その状況を再三質問してきたフリーランスジャーナリストたちの声を掻き消すように、新聞・テレビは「低濃度の汚染水」の海洋投棄の安全性を強調し続けている。

 そもそも、テレビ・新聞が使っている「低濃度」という言葉は東京電力の造語だ。通常の環境基準の100倍以上、つまり普通に考えれば高濃度なのである。この点を東京電力に問うと「相対的なものであり、高濃度と比べて低濃度であるということです」という木で鼻をくくったような回答が返ってきた。

 すでに世界の論調では、日本は大震災に見舞われた「被害者」ではなく、海洋汚染という犯罪を行なっている「加害者」になっている。世界共通の人類の財産である海を放射能で汚し、しかも周辺諸国への事前通告もなかった。それは全漁連がいうまでもなく、海洋テロともいえる人類初の暴挙である。

 日本産の海産物は、今後、放射能による汚染を疑われて、大打撃を被ることだろう。実際、北海道から関東、いや九州にいたるまで日本の海産物への疑いの目は世界に広がっている。

 福島から遠く離れている地域ではまだ風評被害といえるが、それでも、たとえば、北海道の漁協関係者が明らかにしたところでは、海外からの魚介類の注文が完全にストップしているという。もちろん放射能汚染を恐れての輸入禁止措置によってである。