トータルライフとは日常から一歩外に出ること
人生全体をあらゆる面からデザインする

――著書の主題「トータルライフ」について具体的に教えてください。

 トータルライフとは個々で動きながらデザインすべきものと僕は考えています。頭で考えるだけでなく、人生の持つ多様で豊かな側面を自ら創造しつつ、同時に実際にそこに入っていくことです。日々の会社生活から一歩外に出ることです。今まで手を出さずにいたことをあえてやってみる、あえてリーチを越えたところにいる未知の人たちに会いに行ってみる。ほかにもいろいろなことがあります。

 外を見ることが、今の人生を支えてくれているたくさんの人たちに思いを馳せてみる機縁ともなります。家族、友人、職場の同僚、そのほかつながりのある人たちのことを意識することです。そのような人生にまつわるたくさんの人やものごとを、一つの長編映画のように全体から意識してみることです。その一つひとつがどんな風に今の自分に力を与えてくれているのか、明日はどんな風に物語が展開していくのかを考えてみるとよいと思います。そんな風に考えつつ動ければ、ちっぽけな一つの世界にしがみつくことのない、もっともっと豊かな生を育めるものと僕は思います。

――トータルライフを通して何を感じてほしいと思いますか。

 自らの人生全体を、職場の中からも外からも、あらゆる面からデザインしてほしいと思います。同時に、現在の自分のあり方、そして未来にどんな自分になりたいかをきちんと考え抜く機縁としていただきたいとも思います。さらには自分の人生に関わりを持つすべての人たちの人生にも思いを寄せてほしいと思います。

 そして将来どんな人と人生を共にしたいかも考えてほしいと思います。今すぐに成果は望めないかもしれません。それでも、この人生という旅そのものに深く思いを寄せることは誰にとっても大切であると思います。

――個人としてはどんなふうに「トータルライフ・リスト」を使っていますか。

 人生を体系的に理解し行動するために使っています。実際に、自ら挙げた項目の一つひとつにさまざまな目標や人々が関係しているのを知ることができました。努力が必要なことを思い起こさせ、同時に自分が日々何に向かって歩んでいるのかを意識させてくれます。

 実は、僕が一次稿を書き上げたばかりのとき、トータルライフ・リストを本書の中心にしようとまでは思っていませんでした。ちらっと出ているだけのものでした。僕の編集者が原稿を読んで、全体を貫く中心にリストを打ち出してみるといいよと素敵な助言をくれたのです。そこで、僕はトータルライフをテーマとして本書を出すことになったわけです。