中田課長は前から不思議に思っていた。

 会社の喫煙室にいるのは、いつも同じ男性社員の面々だ。雑談したり、ぼうっとしたりして、適当に息抜きしている。たまに非常階段でタバコを吸っている社員もいるが、これも男性だ。「ちょっとそこらへ打ち合わせに」とか言いながら、いつのまにか社内から消えているのも男性である。

 ところが、女性はこうした場所にけっして現れない。ランチに外出するほかは、周りと私語を交わすくらいで、サボっているような様子はまるでない。「うちの女性社員はみんな真面目なんだなあ」とひそかに感心していた。

 それが単なる思いこみにすぎなかったと気づいたのは、ごく最近だ。ある日、突然女子トイレの火災警報機が鳴り響いたのである。原因はタバコの火の不始末。現場に駆け付けた管理部の担当者によれば、女子トイレにはタバコやライターのほか、化粧品、ホットカーラー、マンガなどあらゆる私物が溢れていたという――。

「まさかトイレとは。うかつだった…」

 以来、中田氏は女性部下の一日のトイレ回数を、ひそかにチェックするようになってしまった。

男性の「サボリ時間」は
女性の倍!?

 男性と女性、サボり上手なのははたしてどちらか?

 もちろん冒頭のように、男性も女性もそれぞれ工夫して息抜きを楽しんでいる。とはいえ、あからさまなサボりは、とくに男性に多くみられるようだ。ことにルート営業やB to B営業の担当者だと、アポイントとアポイントの間の時間調整がどうしても必要になる。

 周囲の営業マンにリサーチしてみたところ、パチンコ、マンガ喫茶、ゲームセンター、サウナなどはあたりまえ。中には「自宅に帰って昼寝する」「スポーツクラブで体を鍛えている」「彼女を呼び出して海に行ったことがある」などという声もあった。

 まあ、彼らにとっては業績を上げることが肝心なのであって、勤務時間をきっちり勤めることはたいした問題ではないのかもしれない。しかし、昼寝やデートとは、ちょっと大胆すぎる。

 「たしかに、意識的怠慢時間は男性のほうが女性より長い傾向にありますね」