実は企業でも、状況は似たようなものらしい。先日、ある出版社の編集者と雑談をしていたら、「土曜日に出社すると仕事にならない」という話をしていた。会社は休みなのだが、打ち合わせなどがあって出社すると必ず電話が鳴る。作家からの連絡かもしれないので電話に出てみると、たいがいは今週号の雑誌に関するクレームや問い合わせばかり。仕事にならないので、打ち合わせが終わったらすぐに編集部を後にするらしい。

 企業から見れば社員の時間は人件費だ。かかってくる電話で業務が止まるのはよろしくない。そこで頭のいい銀行は早くから、支店にかかってきた電話を皆、コールセンターで取るようにした。そこで前さばきをして、本当に支店の担当者でないとわからない用件だけを支店につなぐ。コールセンターだって人件費はかかるが、このやり方のほうがムダな電話で人件費がかかることはまだ少ない。

 そもそも電話をするということは、相手の貴重な時間をもらい受けることになる。電子メールがある現在、相手のスケジュールに配慮するのであれば、メールで用件を連絡するほうがマナーにかなっている。逆に急ぎの用件なら、携帯に電話をする。だから業務でも、よほどのことがなければ会社宛てに電話をかけることはない。

 つまり固定電話は、世の中ですでに「無用の長物」と言っても差し支えない状況なのだ。

IP電話への乗り換えで対処可能?
固定電話解約で生じる「3つの不便」

 ただ、予約の電話がかかってくる店舗などがあるので、さすがに日本全体で固定電話をゼロにするのは無理かもしれないが、個人でも会社でも、固定電話が要らないというケースは、現実の非保有率よりも結構高いものなのだ。

 実際、固定電話の保有率は日本よりも外国で早くから低下傾向にある。具体例を出すと、日本人よりも合理的なアメリカ人の場合、固定電話の保有率は全体で45%まで下がってきている。おそらく日本人も、惰性で電話会社と契約をしている人の比率はこれくらいはいるはずだ。

 実は、日本人でも固定電話のコストがムダだと考えている人は多い。その証拠に、NTTの固定電話を解約して「ひかり電話」のようなインターネットサービスプロバイダが提供する安いIP電話に切り替えている家庭が、全電話契約世帯の実に半数に上るのだ。

 月額の固定電話代が2400円だと高いと思う人が、月1500円の電話に乗り換えているのだ。だったら、それをゼロにする気はないのだろうか。そこで考えてみたいのが、固定電話を解約することで何らかの不都合が起きるかどうかだ。一般に、もしあなたが固定電話を解約してしまうと、3つの困ったことが起きると言われている。