4月下旬に列島を駆け巡った「ガラケー生産中止」の一報。スマホユーザーにとっては無関心なニュースだったかもしれないが、今も熱心にガラケーを使い続ける“ファン”の間では、次々にショックの声が上がっていった。その声は、日を追うごとに大きくなっている。スマホが隆盛を極める中、いったい彼らはなぜガラケーを使い続けるのか。改めてガラケーの歴史を振り返りながら、ファンにガラケーを愛する理由を聞いてみた。(取材・文/有井太郎、協力/プレスラボ)
生産中止の報から膨らみ続ける
ガラケーファンの「悲痛な声」
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ついに、私もスマホを使わなければならないのか――。
ゴールデンウイークが近づいた4月下旬、携帯電話の歴史において「分岐点」となるニュースが報じられた。ズバリ、“ガラケーの終焉”。従来型携帯、いわゆる「ガラケー」の生産を2017年以降に終了することが、日本経済新聞より伝えられたのである。
「ガラケー」とは、ガラパゴスケータイの略。日本独自の発展を遂げてきたことから、独自の生態系を持つ「ガラパゴス諸島」になぞらえて呼ばれるようになった。たとえば、ガラケー端末に内蔵されているOSは、国内メーカーが独自のものを開発してきたと言える。そしてそれは、ほとんど国内でしか流通できないものとなっていた。
だが、その汎用性のなさがガラケーの命取りとなった。2007年のiPhone登場を皮切りに、世界のケータイ市場がスマホへと方向転換し出すと、日本だけでしか通用しないガラケーをつくることが、メーカーにとって負担になってきたのだ。結果、2017年以降のガラケー生産中止につながったのである。
とはいえ、スマホが普及した現在でも、一途にガラケーを使い続ける“ファン”は多い。MM総研が発表した『2014年国内携帯電話端末出荷状況』によれば、全体におけるスマホ契約数の構成比は52.3%、ガラケーの別称である「フィーチャーフォン」は47.7%と、ほぼ半数ずつとなっているのである。