ゆっくり大人になればいい
現在の日本では成人が20歳ですから、16歳で8割がた大人じゃなきゃいけないことになります。でも、成人を20歳と決めたのは、平均寿命が50歳前後だった頃の明治期の日本です。あの不朽の名作『坂の上の雲』の主人公・秋山真之や夏目漱石は49歳で死んでいますしね。その前の江戸時代はもっと短命だったから、15歳くらいで元服させて戦にも参加させたし、結婚もしました。
いまは寿命が倍に延びて、君たちならたぶん90歳前後まで生きるのでしょうから、成人式はその半分よりちょっと前の、40歳くらいでいい感覚ではないかと思うのです。ゆっくり大人になればいい。
45年間ほどの人生では、20歳で成人すれば、大人の期間はあと25年です。40歳くらいで隠居して、あとは悠々自適の余生だというのもわかります。でも、90歳前後まで生きる君たちにとっては残りが長すぎる。60歳で会社を退職したり現役を引退したとしても、あと30年あるんですから。
100年前の一生分が余るわけです。だったら、やはり倍の40歳で成人するんだと考えればいい。法律や制度を変更する必要はありません。自らがそう考えて生きればいいんです。40歳からでも、50年の大人としての人生が待っているのですから。
だから僕は、30代まではあまり「恥」や「嫉妬」に惑わされず、ある意味、無謀に生きるのがいいと考えています。早熟な人は例外ですが、社会的なミッション(使命)を持った大人として生きるのは、40代からでいいのではないでしょうか。それまでは下準備ですから、無謀に生きて、いっぱい恥をかいたらいい。