AIの台頭や一層のグローバル化、就活の地殻変動などの影響で到来する「仕事が消滅する時代」。そんな時代に必要とされるのが、「雇われる力」(エンプロイアビリティ)だ。本連載では、藤原和博氏の最新刊『10年後、君に仕事はあるのか?』の内容をもとに、「高校生に語りかける形式」で2020年代の近未来の姿と、未来を生き抜くための「雇われる力」の身につけ方をお伝えする。今回はその第2回。
「AI×ロボット技術」と「人間の知恵」とが掛け合わされる場所
早く正確に処理する仕事、つまり単純な処理作業はいまでも続々とコンピュータに置き換えられています。これは当たり前ですよね。
でも、簡単な判断が求められる仕事もすでに機械ができるようになっていて、この10年でさらに、かなり複雑な判断が求められる仕事までAI×ロボットに奪われていくだろうと予測されているのです。
面白いのは、電車の運転士はかなり早い段階でAI×ロボットに取って代わられる運命にあるけれど(すでにモノレールなどで実現)、同じ電車運行の仕事でも、車掌のほうは意外と生き残るだろうという予測もあることです。
最終的な安全確認や電車の運行中に病人が出たときの対応など、想定外の(予測が難しい)事態への対応は人間に任せたほうがうまくいくと考えられているからでしょう。逆に言えば、そういう仕事が残るということでもあります。
だから君たちには、AI×ロボットの時代に入るこのときに、人間として本当に必要な知恵と力を身につけてほしいと思うのです。
「AI×ロボット技術」と「人間の知恵」とが掛け合わされる場所に、必ずや新しいタイプの人間の仕事の場、すなわち「フロンティア」が開けてきます。介護でも、保育でも、教育でも、はたまた伝統文化を継承する仕事でさえも。
この危機をチャンスととらえ、1人ひとりが独自のフロンティアを切り開いていってもらいたい──。これは、現在、私が校長を勤める奈良市立一条高校の入学式で話した話題でもあります。