さて、日本の通訳案内士という業界で保田さんのようなベテランの男性ガイドは少数派だ。そもそも仕事の受注が不定期というその性格から、これを本業にすること自体難しい。通訳案内士に憧れたが、「夢破れ転職」という話もよく耳にする。

日本の伝統文化の解説もしっかりと伝える保田さん

 保田さんはこう話す。

「もともと貿易業と掛け持ちで通訳案内士をしていたのですが、次第に発注が増えてガイドが本業になってしまいました。今年で12年目になります。一般的に通訳案内士の仕事は不安定で、予定していたツアーも直前でキャンセルになることもよくあります。それでも月の仕事が15日入ればなんとか食べていけます。中国語のコミュニケーションは楽しいですよ。やっぱり、私はこの仕事が好きなんでしょうね」

 “闇ガイド”が桁外れのボロ儲けに浴する一方で、正規の有資格者の生活はひたすら熱意で食いつなぐのが実情だ。国は「インバウンドで日本経済は潤う」と期待を煽るが、何かがおかしくないだろうか。

(ジャーナリスト 姫田小夏)