人材の多様性なしには
成り立たない業界
トランプ新政権とテクノロジー業界との不協和音が、やはり定着化しそうだ。
新政権に対してはっきりとした抵抗姿勢を示しかねていたテクノロジー業界が、一気に反トランプ政策の側に回ったのは去る1月末、トランプ大統領が発令した入国禁止例がきっかけだった。
他の業界にも増して、海外から優秀なエンジニアらを雇い入れ、また世界中にサービスを提供しているテクノロジー業界にとっては、実質的にも思想的にも排他的な閉じた国家を認めるわけにはいかない。
入国禁止令を違法だとしてワシントン州司法長官が提訴した際には、当初アマゾン、マイクロソフト、エクスペディアなどが支持を表明したが、最終的にはグーグルやツイッター、アップルなどを含む100社近いテクノロジー企業が名を連ねた。これだけのテクノロジー企業が足並みを揃えるのは、珍しいことだ。
現在、トランプ政権からの新たな移民規制の政策が明らかにされるのを待っているところだが、その間にもテクノロジー企業関係者を硬化させる動きがいくつも出ている。
そのひとつは、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の生徒たちのトイレ利用問題。オバマ政権は、公立学校では生徒たちが自分の感じるアイデンティティーと一致したトイレやロッカールーム(着替室)を利用できるようにした政策を打ち立てたが、それを新政権は廃止しようとしているのだ。
テクノロジー企業は、LGBTにオープンであることを謳うところが多く、LGBT社員も少なくない。現在、あるLGBTの高校生が希望するトイレ利用を学校が阻止したことで闘っている訴訟で、最高裁での裁判を前にアップル、リンクトイン、リフト、アマゾン、Airbnbなど多くのテクノロジー企業を含む54社が生徒のサポートに回っている。