今すぐ決断と対応をしなければ
「ピーク時期」に間に合わない

 もうひとつは「今から対応する」ということだ。

 ソニーは4月13日には夏休みの実施方法を固めて、すぐに労組との交渉を始めている。経団連も、自ら率先して消費電力を削減することで、加盟企業や業界の協力を促す狙いだ。

 夏休みの変更については、就業規則や労使の取り決めなど企業マネジメントとの兼ね合いもあって、それらをクリアして実施まで漕ぎつけるには相応の時間が必要になる。

「取得する権利を行使しなさい」というのと「長く固めてとりなさい」というのでは、当然ながら発想も体系化する方法も、発生するリスクもまったく違うのだ。

 だからこそ経営者側には、早め早め、先手先手の決断が不可欠なのである。

 最悪なのは、休暇の決断をせぬまま真夏を迎え、勤務中に、突然大規模停電に遭うことだ。オフィスは蒸し風呂、パソコンも動かない状態で、事実上、業務はストップ。電車も止まり、再び徒歩で帰宅という事態も起こりかねない。なんとしても、こういった事態だけは避けたい。

官民をあげて
夏休み対策の徹底を

 これらの夏休み対策は、もちろん企業が率先して積極的に実施するのが望ましい。企業側が「全社一斉に休む」というルールを決めて従業員に徹底するのだ。

 さらに企業ごとではなく、テナントとして複数企業が入っているオフィスビル単位で実施するのも推進効果が高く、強制力も大きい。

「このビルは○日から○日までお盆休みにします」として、ビルそのものを夏休みで閉めてしまうのだ。企業とすれば、そのビルに入っている部署だけは、その期間中夏休みにせざるを得ない。企業だけでなくオフィスビル単位で対応することで、夏休み対策はより推進されるだろう。

 こうした夏休みの取り方による節電は、4月8日に電力需給緊急対策本部で経済産業省が提示した『夏期節電対策の具体例』でも、大口・小口需要家に対して夏季休暇の設定(長期化・分散化)として取り組み項目のひとつに挙げられている。

 ただし、同業・異業の複数事業者が共同で足並みを揃えなければ、節電効果はさして上がらない。となれば、やはり求められるのは、ある程度の強制力だ。

 これも繰り返しになるが、やはり官民が一体となって協力し、とくに国が強い強制力を発揮して推進していかなければならない。

 この夏、節電対策でも国のリーダーシップが問われているのだ。