
管理組合への対応力が優れているのはどこ?今後も永続的にサービスを提供できる企業体力があるのは?特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#26は組合への対応力と会社経営力を八つの独自指標から判定する恒例の管理会社ランキングをお届けしよう。業界再編や人件費高騰、そして談合問題で揺れる管理業界の最新ランキングで1位に輝いたのは?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
組合お世話力と会社パワーでトップに輝いた管理会社はどこ?
2025年管理会社ランキングは上位陣に異変あり!
マンション管理のパートナーであり、適切な管理を行うためにも欠かせない管理会社。「わがマンションを任せている管理会社の客観的な実力はどうなのか」は多くのマンション住人にとって知りたいポイントだろう。
タワマン化を主とした大型化、人件費や建設費などの高騰による管理コストの急騰、さらに外国人や投資家を含む区分所有者の多様化など、マンション管理の難易度は上がっている。さらに、本特集#1で指摘されたような、大規模修繕工事を巡る談合問題など、業界全体のコンプライアンスが問われる事態にも管理会社は直面している。「地方を中心に、エリア全体からの管理会社の撤退が進んでいる」(マンション管理士)など、コストの上昇で採算が悪化しマンション管理事業を縮小・撤退する企業も増えているのだ。
こうした時代に、マンション管理会社の実力はどのように測ることができるだろうか。単純なものが、その会社が管理を受託しているマンションの戸数という量で測るもの。経営破綻しないかどうか、会社としての安定性で測るもの。さらに、その会社が、受託している管理戸数に対して、適切なサービスを提供できるだけの体制を整えているかの質で見るもの、などだ。どれか一つに突出することなく、どの要素もバランスよく備えている会社が良い管理会社ということになる。
ダイヤモンド編集部恒例の管理会社ランキングは、今年は上記の観点を取り入れた8項目、小分類計14項目から設計した。2025年2月末時点でマンション管理業協会の会員データに登録されている会社データを基に分析を行った。
まず、組合をお世話する力を見る「組合お世話度」。マンション管理を業として行うには、30組合につき必ず1人以上の管理業務主任者(管業)を置くことが法律で義務化されているなど、最重要の要素といえる。いくら多数の管理戸数を抱えていても、フロントが組合を抱え過ぎていてめったにマンションに顔を出さない、連絡が遅いなどサポート体制が貧弱では意味がない。
さらに、マンション管理に必須である専門知識を持つ人材が、1人当たり何組合を担当する計算か。同様に、組合へのサービスを支えるバックオフィス部門を含めた社員の対組合への充足度についても、算出し配点を行った。
今年からは、本特集#7以降度々登場しているマンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」を管理会社名で逆引きしたデータも活用した。管理会社が対応しなければ管理組合はこの制度には参加できない。多くの管理組合に対応し、さらに評価点を上げるためには管理会社のスキルも求められる。この制度は国の管理計画認定制度ともリンクしており、認定組合は各種優遇措置が利用できるため、本制度への対応度は管理会社としては今後重要となってくる。
これに併せて、管理戸数やその成長度、戸当たりの売上高、ROA(総資産営業利益率)、営業利益の3期平均の増減額、自己資本比率といった企業体力、いわば「会社パワー度」を算出した。これらの8項目、計180点満点で、マンション管理業協会の会員データベースに会社情報の登録のある管理会社から、総合管理戸数1000戸以上、マンション管理事業の総売上高に占める比率が40%以上の企業152社を採点したのが次ページからのランキングである。
評価項目を大幅に追加したこともあり、ランキングの顔触れは前回23年3月のランキング(特集『「マンション&戸建て」購入術大全』#4)から大きく変わることになった。常勝企業に迫る伏兵の存在や、有力とみられていた企業のまさかの陥落もある。早速次ページから詳細に確認してほしい。