人は助け合って生きている。一人で生きているつもりでも、何かと他人のお世話になっている。
そして何かにつけお願いしたり、お願いされたりする。メールのしめくくりは「よろしくお願いいたします。」となっていることが多い。
お願い上手な人とお願い下手な人がいる。お願いを快諾されることが多い上手な人と、お願いしても後回しにされたり、結局無視されたりすることが多い人だ。
美人はお願いがうまい。お願いされたら、断りにくいのだ。少し難しいことだけど、がんばってみようという気にさせる。美しいから、お願いが通じやすいのではなく、お願いのしかたがうまいのだと思う。
うまさとは何か。まず、言葉の選び方がうまい。順序だてて説明する進め方も大事だ。もっとも重要なのは自分の都合ばかりを長々と言わないということである。
自分の都合の説明の長さは「美人のもと」を減らしていくように思う。だから、その説明は短い。簡潔に説明する。
そして、お願いの最後に相手の目を見てしっかりと口を結ぶのだ。その口こそが「美人のもと」を増やしているように思う。そして、相手が快諾したら、口角が上がり笑顔になっていく。
お願い下手の人は、長い自分の都合の説明のときから、口が変な開き方になっていく。下唇だけで話している感じ。叱られた子供が言い訳をしているときによくする口だ。そしてどんどん「への字」になっていく。最後はやはり下唇をさげ、口を開けながらお願いする。その口からどんどん「美人のもと」が出ていっているのに。
相手が話しているときもなぜか下唇が動き、小さくパピッというような音が出る。仮にお願いが聞き入れられても、「ありがとうございます」と下唇だけを動かし、悲しげな顔になる。下唇ばかり動くので、「ありがとうございます」という発音と同時に唇から「パピパポプポパピパプ」と悲しい音がする。喜ばないのか。喜びなさい。
美人のお願いの鍵は口である。きれいな「お願い口」を身につけたい。