法人相手の外商部の伸び悩み
富裕層向けビジネス、強味に

 百貨店業務に詳しい人たちがよく口にするのは、主に法人需要や大口個人顧客を相手にする、外商部の取扱高が期待されたほど伸びていないことだ。

 多くの百貨店は、法人取引先や高額所得者などの富裕層を対象にした外商部を持っている。その強みは、大口顧客を囲い込んで需要を発掘し、それを実際に販売して収益を上げることにあった。まさに“コンシェルジュ”だ。資産価格が高騰し、企業も個人も高額消費に大枚をはたいたバブル期に、各百貨店の外商部は大きな伸びを記録していた。

 ところがバブル崩壊後、企業は減量経営でリストラを実施し、取引先などへのお中元やお歳暮などの支出を真っ先に削った。外商ビジネスの採算悪化は、ある意味では必然だったと言える。そのため外商部の機能は変革を迫られ、現在は法人向けの販促支援などコンサルティングの要素を含んだものに変わりつつあると言われている。しかし、そうした変化が本当の意味での成果を上げるためには時間がかかる。

 本来、百貨店ビジネスの根幹は高価格、高品質の品物を販売し、顧客に百貨店でしか体験できない満足感を提供することにある。外商部はある意味では、百貨店の持つ“高級感”のシンボルとも言える。

 いまの日本の経済状況を考えると、法人部門の取り扱いが急速に増加することは期待できないだろう。今後、その強みが発揮できるのは、むしろ富裕層向けのビジネスかもしれない。大手外資系金融機関などの国内事業展開を見ていると、一般個人向けのリテール事業を縮小する企業がある中、富裕層向けの資産運用サービスは強化されている。

 経済全体の消費面を考えても、富裕層は景気動向の影響を受けづらい。実際、大丸松坂屋は富裕層の需要取り込みを重視し、外商部の強化を進めている。競合相手が撤退した地域で外商部の人員を増強し、外商顧客限定のウェブサイトを開設している。

 三越千葉店の閉鎖後も、三越伊勢丹は同店舗の外商を続ける方針だと聞く。このように、新しい手法の外商ビジネスの強化は、不動産活用と並んで百貨店事業の再生を支えるうえで重要な役割を担うことになるかもしれない。