政府の復興構想会議が立ち上がったが、議論の焦点の一つは、復興のための財源をどうするかである。復興には巨額な資金が必要であるのは間違いない。その調達のやり方次第では、国債市場(長期金利)にも大きな影響を与えかねない。日本経済と国債市場に詳しい、みずほ証券金融市場調査部の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、復興財源の捻出ための日銀による国債の直接引き受けは、絶対に行うべきではないと主張する。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン客員論説委員 原 英次郎)
――最初に、これからの日本経済の見通しについて、聞かせてください。
日本経済の行方については、「短期楽観・長期悲観」というのが私の見方です。短期的あるいは循環的には、秋以降、日本経済はまた上向きの流れに戻ると思います。
要するに、世界経済の回復基調は変わらず、再び輸出は伸びる。為替も円安に徐々に傾斜しているという状況なので、大震災による供給制約さえ解消すれば、上向きの流れに戻る。供給制約で大きいのは、サプライチェーン(原材料、部品の供給の連鎖)分断と電力不足との二つです。
サプライチェーン分断は今、半導体メーカーさんなどの生産再開時期の前倒しもあって、6月いっぱいで制約の山は超えそうだ。その後は夏になるので、7月、8月辺りは電力不足が効いてくる。電力不足に対応するために、各企業が輪番操業だとか、休日操業をやるとかで、生産が影響を受ける。ただ、そこを越えれば、電力の不足は解消し、この面からの供給制約もなくなるので、冬場はあまり問題ないとみているし、そうなると、需要に応じて生産=供給ができる状態になる。